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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
(パラレル?10年後ぐらい設定。オリキャラ出張ります、注意)
「テツヤさん、ただいま」
そう言って、扉を開ける。
家族向けマンションの一室。
「おかえりなさい」
テツヤさんは、リビングで、本を読んでいた。
この人は、本当に本が好きだ。
1日1冊は確実に読んでいる。
下手すれば、それ以上。
「疲れた顔をしてますね」
「うん、部活、結構きつくて」
苦笑する。
やっぱり好きだけど、きついものはきつい。
「お風呂入ってきますか?それとも、ご飯にしましょうか」
「…ご飯でもいい?お腹すいちゃって」
「はい、それじゃあそうしましょう」
テツヤさんは本を閉じて、台所に向かう。
几帳面に、栞が挟んであるのが、品があるなぁ、と思う。
オレは、この家に居候している。
オレの両親は小さい頃離婚した。
母さんはいろいろ忙しい人だったみたいで、オレは父さんに引き取られた。
けど、父さん1人で手におえるような問題じゃなかったから、オレは親戚の家にしょっちゅう預けられてて。
そこで、テツヤさんに会った。
「光樹君。用意できましたよ」
「あ、ありがとう。頂きます」
「どうぞ」
オレの名は、緑間光樹。
テツヤさんの同居人の親戚にあたる。
オレの父親が、その人といとこだから。
その人のことは、真さんって呼んでる。
何だかどこかの国の人みたいな呼び名になってしまったけど、他になんて呼んでいいのか、わからなくて。
小さい頃は、お兄ちゃん、なんて、呼んでたりもしたんだけど。
親戚の家に預けられてた時に、真さんと、遊びに来てたテツヤさんに、オレは懐いた。
それから父さんが今の母さんと再婚して、妹と弟が生まれたり色々あったんだけど。
オレはどうにもそれに馴染めなくて。
優しかった、その家の言葉に甘えて、完全に預けられるようになった。
それでも祖父ちゃんが体調を崩してしまったから、オレはそこにはいられなくなって。
家に来るかと助け舟を出してくれたのが2人だった。
それからオレは、この家で、ずっと暮らしている。
たまには両親にも会いに行くけど、オレの本当の家は、ここだと思う。
ここじゃないとくつろげない。
「これ、美味しいね」
「そうですか?ありがとうございます」
「テツヤさん、料理上手になったよね」
昔のことを思い出すと、本当にそうだと思った。
暮らし始めた当初は、真さんの方が料理をしていたんだけど。
最近では平日は殆どテツヤさんが作ってくれる。
「…当時は、酷いものを食べさせてましたね」
「いや!言うほど酷くなかったし!…怪我とかもしなくなったもんね」
「…忘れてください」
味はちゃんとしていたけど、見かけがとにかく悪かったのだ。
後は、生煮えだったり、崩れていたり。
そういうのは殆ど自分で食べて、オレには見目のいいやつをくれてたけど。
そして、よく怪我をした。
包丁で切ったり、火傷したり、色々。
あまりにも危なっかしいから、よく手伝ったものだった。
そのお蔭もあって、オレも料理を作ろうと思えば結構作れるようになった。
今は中学に上がって部活をバリバリやるから、そんな暇なくなってしまったけど。
これだけの腕前になったなら、安心してまかせられるから、よかった。
「だってテツヤさんあの頃手絆創膏だらけだったじゃん。真さんも凄く心配してたし」
「…素直に心配してくれればいいんですけどね」
「真さん怒るからね」
「そうなんですよ」
「真さんが作るって言ってたのに、テツヤさんもいちいち作ってたしね」
「…そうですね」
「…なんで?」
「…作りたかったから、ですね」
「それまでしてなかったのに?」
「そういう気になることだってありますよ」
かんかんかん。
足音が聞こえてくる。
このせっかちな調子は、多分、真さんだ。
テツヤさんもそう思ったのか、こっちを見て笑った。
今日は、結構早い。
真さんは真面目に会社員をしてる。
エリートコースを登ってるらしくて、給料がいいらしい。
けど、だからか、仕事は遅くなったりすることも多かった。
「…帰ったぞ」
「おかえりなさい。ご飯出来てますよ」
「おかえり、真さん。先に貰ってます」
「…ああ」
荷物を置いて、上着を脱いで。
ネクタイを緩めて食卓に着く。
「これ、美味しかったよ」
「そうか」
「どうぞ」
「ああ」
冷蔵庫の中のサラダを取り出して、前に置く。
よくできた奥さんみたいな仕草だ。
昔オレは2人に、どうして一緒に暮らしているのかと、聞いた。
その時、テツヤさんは、『お互いに気に入ってるからですよ』、と言った。
その通り2人は仲が良かったけど。
今では、2人がいわゆる恋人同士だってこともわかってる。
オレの前では決していちゃいちゃしたりしないけど。
わかりあっているんだと、思う。
言葉や、仕草の端々から。
「ねぇ、真さん。今日、疲れてる?」
「…また、バスケか?」
「うん。練習、付き合って欲しいんだ」
「…仕方ない。付き合おう」
呆れたようにこぼされる。
それでも、真さんはバスケが好きだから、付き合ってくれるのだ。
決して嫌がってなどいないし、むしろキミがバスケをしてくれることを喜んでますよって、テツヤさんは言っていた。
「ありがとう」
「いや」
「疲れてるんじゃなかったんですか?」
「ご飯食べたら元気になったよ」
「嬉しいことを言ってくれますね」
「それに、上手くなりたいし」
「…そうですね」
テツヤさんが、目を細める。
テツヤさんは、凄いプレイヤーだったのだと、テツヤさんの友達から聞いたことがある。
影の薄さと、人の視線を誘導するトリックを使いこなして、見えないパスを送る選手だったと。
でも、今は中々、バスケに付き合ってはくれない。
何でかは、聞いたことがない。
だって、断るときのテツヤさんは、いつも見せないような、悲しい顔をするから。
数回だけ、バスケをする姿を見たことがある。
見慣れてない人にはきっと見えないであろう姿。
人の間を潜り抜けて、ボールが飛んでいく。
あまりにも正確なタップパス。
まるで魔法でも使っているかのように。
そんなことができたら。
そう思ったけど。
あれは他の誰にも真似できないと、真さんが言った。
テツヤさんは誰よりもバスケを愛していて、その為に、ああやって戦う術を身に着けたのだと。
中途半端な覚悟でも、生半可な努力でも、届くことはできなくて。
オレにはオレのバスケがあるから、それを見つければいいのだと教えられた。
わかったと返事をした。
そうしなくちゃいけないんだろうと思った。
人真似なんかでは、到底できないことだった。
それに、オレは、それよりも、自分で決めたりすることの方が好きだったから。
でも、テツヤさんのパスで、プレイできたら、どんなに楽しいだろうと、思うけれど。
夜のバスケコートに出かけて。
テツヤさんは、いつものようについて来なかった。
もう当たり前のことだから、問い返したりなんてしないまま。
先にプレイしていた人たちに混ぜてもらったり、ちょっと使わせてもらったりして、楽しむ。
もう顔見知りになってる人たちも多い。
しょっちゅうやってるから。
上手くなったなって褒めてくれることもあるし、まだまだだなって笑われることもある。
同年代の奴もたまにいたりして、面白い。
違う中学の奴とかもいて。
年上も年下もあるけれど。
入り混じってプレイするのが楽しい。
バスケの中では、上下関係なんかなくて、皆が対等であるのが嬉しい。
勿論その中でも真さんはダントツで上手いんだけど。
「あー疲れた!!」
やるだけやりきって、もう遅いから帰るぞと促されて、思いっきり体を伸ばした。
「ずいぶん元気そうだが」
「だってテンション上がっちゃってるから。落ち着いてきたら疲れが来るって」
「…まあ、そういうものだな」
「真さんもあった?そういうこと」
「……ああ」
遠い目。
ああ、テツヤさんと一緒だ。
この目を見ると、この人たちが、どんな人生を送ってきたのか。
凄く気になって仕方なくなるんだ。
「いいなぁ。オレ、真さんたちみたいな、凄い人生送りたいな」
「送れるさ」
「ほんと?」
「ああ。オマエはまだ若い」
「そんなの。まだ真さんたちだって若いじゃん」
「世事はいらん」
「も~。十分若く見えるってば!」
からかうように声を上げて。
並んで歩く。
少しずつ見上げる角度が小さくなっていく。
もうすぐ、テツヤさんの身長も抜くだろう。
制服、新しいの買わなくちゃいけないかもしれないなぁ。
「それに、2人だって進歩してると思うよ。テツヤさんの料理だって、ちゃんと上達したじゃん」
「…それほど難しいことではないだろう」
「でも、その割には真さんやめろって止めてなかった?」
「む……」
「あははっ。でも、2人で暮らしてたのに、それまで真さんしか料理してなかったんだ?」
「……そうだな」
「やっぱ、真さん大変だもんね。テツヤさん気を使ったのかな」
「……まあ、それもあるのかもしれんが」
「…何?」
「…オマエが住むことになったからな」
「え」
「オマエに冷たい飯ばかり食わせるわけにはいかんだろう」
「…テツヤさん…」
「オマエがかえって心配するからやめろとも言ったんだかな」
「あっ!それは確かに!!」
でも、そんなこと考えてくれてたのか。
ただ転がり込んできただけのオレに。
優しいなぁ。
好きだ。
大好きだ。
オレの、家族。
「真さん。オレの面倒見てくれて、本当にありがとう」
「…どうした、いきなり」
「うん。言いたくなったんだ。…いつも思ってるよ。オレなんかいないほうが、2人で幸せなのかもしれないのに、オレを預かってくれて、」
「言うな。……オレ達こそ、感謝している」
「……」
「オマエが来てくれたおかげで、親になれた」
「……なりたかったの?」
「…諦めていたんだがな」
頭を、撫でられる。
大きな手。
久しぶりだ。
やさしい。
「アイツにも、礼を言っておけよ」
「うん。言うよ」
「…きっと、喜ぶな」
「…そうかな」
「ああ。わかりにくい奴だが」
「…真さんも十分わかりにくいよー」
笑った。
真さんが少し嫌そうな顔をするのが、面白い。
どっちも大好きなんだ。
3人でいられてよかった。
幸せだ。
早く家に帰って、楽しかったってテツヤさんに笑いたい。
きっと、優しく、よかったですねって言ってくれるから。
それで、いつもありがとうって言おう。
何を言ってるのかって、呆れられるかもしれないけど。
2人といられて、オレはこんなに幸せだから。
未来設定とかもいいですよねー。
色々書いてみたいような気もします。
これの続きとかも書けるような気がするんですけど、あんまり自分ワールドをひけらかすのもどうなの?って気もしていたり。
でも、好評なようだったら続き書いてみますね^^
拍手お返事です♪
おたふくさん、こんにちは!
なんか、子供を育てるとか、ほのぼのした空気はこの2人が一番似合いそうな気がして、こんな話を書いてみましたー。
とりあえずおは朝は絶対欠かせないでしょうね!(笑)
休みの日でもいつも規則正しい生活を送らざるをえなさそうです(笑)
黒子は一人だけ寝てたりしそうですが。
ご飯はゆで卵ばっかり作ってくれそうですが、この場合息子君のためにちゃんとバランス考えて作ってるんでしょうね!
確かにぜひ食べてみたい^^
コメント、ありがとうございました♪
また、おいでください!
続き書きますね♪