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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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「写真が欲しいわ!」





「…何だよいきなり」
「いやちょっとね、一つの理想形としてキセキの世代の身体が見たいと思ったのよ」
「あのねカントク、そういう発言は絶対オレたちの前以外でしないでね」
「というわけで黒子君。キセキの世代の写真持ってない?上半身裸の奴」

「…その条件となると厳しいですね」
「ったりめーだろ!なんでチームメイトの半裸の写真を持ってるんだよ!気持ち悪いわ!!」
「雑誌とかに載ってないのぉ?」
「流石に全部ユニフォームとかだったわ」
「確認済み!?」
「だって実際凄いんだもの。しかも成長スピードが半端ないわ」
「そうですね…」

「だからちょっとでも身体が見れたらね…」
「カントクそれマジでセクハラ発言だから」

「黒子が訪ねて行って取らしてもらってきたら?」
「いや駄目だろ!!いくら友達から言われたって普通嫌じゃね!?」
「あーでも黄瀬とかならオッケーしそうっすけど…」
「そりゃ黄瀬はモデルだしなぁ」
「いくら黒子の頼みでも見るのは他人なんだから嫌だと思うけどな…」

「あ、でもあると思います」
「え?」
「写真!?」
「はい。以前皆で海水浴に行ったことがあるんです。その時の写真が多分」
「成程海水浴か!それなら納得いくな!」
「ってか仲良いねー」
「黄瀬くんが仕事の関係で安く宿をとってくれたので」
「あーいいねぇコネがある奴は」
「日向だってスポーツジム使わせてもらってるじゃんか…」

「とにかく黒子君グッジョブ!時間あるときに探して持ってきてね」
「はい」






古い写真






部屋の片隅に、意識的に触れないようにしてきた一角がある。
中学の時の、置き土産。
制服、体操着、教科書、鞄、ノート、学生証、卒業証書、アルバム。

不要なものは捨てて、まだ使えると判断したものはちゃんと整理してある。

けれど大部分は、触れることすら躊躇われて放置し続けた。


怖いのだろうか。
自問する。
触れれば思い出が溢れだすだろうか。


そうかもしれない。

できれば、思い出したくなかった。



過去が甘くあればあるほど、あの絶望の日々も苦くなる。



現状に満足している。
今ボクはバスケが好きだし楽しいし、幸せだ。

けれど。

ボクはやはり彼らのことを思ってしまうのだ。
かつてのチームメイト。
共に戦った仲間。
共に喜び、笑って、苦難に耐え、くだらないときも、大変なときも。


…馬鹿だ。


そう思って、その一角に手を伸ばした。

薄く埃を被った教科書をどけ、写真を探した。
アルバムに入れていない。
多分、裸のままで置きっぱなしにしてしまったように思う。

元々、ボクはあまり写真には興味がない。
その時感じることが全てだと思うからだ。

そして、どうせ写真に写ってもボクには視線がいかないのだから別に取る意味がないと思う。
風景写真は、綺麗だと思うけれど。



いくつかの封筒のようなものを広げては、いらないものを捨てた。

昔の練習計画とか、メニューとか、試合日程とか、そういったものを、ゴミとして選り分けていく。


きっと本気を出して掃除すれば、半分以上はゴミになってしまうだろう。
どうせノートを取っておいたって、大半は見ることもないままにゴミになるのだし。




けれど、それらを処分していくのは、酷く、体力を消耗した。




教科書を貸したこと、落書きされて返ってきたこと、ノートを無理やり写させたこと。
練習の風景、どれだけつらかったか、どこの道を走ったか。
庭にはどんな木や、花があったかとか。

そういうことが、無差異に思い出される。


お願いだから無駄なことを考えさせないでほしい。



酷く疲れる。

頭が重い。



額に手を当てた。
こんなことで疲労している場合じゃないのに。




カントクには悪いが、諦めてもらおうか。

なかったと、言うのはたやすい気がした。



桃井さんや、黄瀬くんに頼るという手もある。

でも、今彼らに会ってしまいたくなかった。



こんな、懐かしさと狂おしさを抱えて、彼らに会えるはずもない。




体を無理やり起こして、乱暴に中をあさった。

そして、爽やかな黄緑色の封筒に入ったそれを見つける。




黄瀬くんがカメラを持ってきていて、色々な場面を交代で撮った。
それで、後から皆に配ったのだった。



ああ、懐かしい。



封筒を開いて、写真を並べた。



青色の眩しい写真たちだ。
勿論、肌色も多いが、それは水着だから仕方がない。

電車で行って、ホテルに泊まって。
人の少ないプライベートビーチで泳いで、夜は1部屋に集まって語り明かした。
桃井さんもいたが、皆それに慣れていたし、キセキの中には彼女にそういった関心を持つ者はいなかったから、普通に受け入れてしまっていた。
なにより、折角の旅行先で、彼女が一人だというのは、寂しいことだから。

友達を連れてきてもいいということになっていたのだが、彼女は一人で来た。
彼女は本当に、考えの深い人だと思う。

必要なことが、わかっている。
強い人だ、本当に。




一度思い出せば、色んなことが溢れだして、止まらなかった。

とりあえずまず泳いで。
ビーチバレーで遊んで、かき氷や、アイスを食べて。

黄瀬君と青峰君が遠泳を始めて。

紫原君が寝たので皆で埋めて。

桃井さんが綺麗な貝殻を拾って来て。

緑間君はあんまり泳がずにそれを遠くから見ていて。

赤司君はただ笑っていた。


眩しすぎる記憶。


晩御飯は適当に済ませてお菓子とジュースをたっぷり買って皆で集まる。
テレビをつけて、どうでもいいことで笑って。

その頃の不仲を一気に解消するように皆よく喋った。
全てが嘘だったように。
1年前に戻ったみたいに。


ただ、バスケだけから視線を逸らして。


ホテルをチェックアウトしたのは昼前で、それから皆でご飯を食べて、また電車で帰った。

賑やかで眠れなかったり、当然疲れはしたのだけど、それ以上に、楽しんだ。






皆もう純粋にバスケを楽しむことができなくなっていたから。






皆が戻れたらいいと思っているこの関係に、でも、もう戻れないんだと誰もが理解して、諦めていた。















その時が楽しかった。




それだけは、確実なことなのに。


















今更こんなことを考えてしまうなんて。











胸が、痛かった。














写真は適当に馬鹿過ぎないものを抜き出してファイルに入れた。



ベッドに倒れこむ。





もう何も考えたくなかった。









そしてこんな時に決まって見るのは、懐かしい、彼らの夢なのだ。














助けて。




助けて、ください。












足掻いて、足掻いても。














どうにもできない過去を、見つめ続けてることしかできない。










 

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