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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「なあ、キス、してみねぇ?」
その誘いに、黒子は瞠目して、暫く言葉を失った。
確かにここには2人以外誰もいなかった。
宿題の居残りの青峰に、黒子が仕方なく付き添っているだけなのだから。
周囲には気配がなく、よっぽど騒がない限りは、誰も関心を持つことすらないだろう。
だから、状況的には可能だ。
でも、だからといって、何故、このタイミングで、しかも同性の自分に対してそんな言葉を吐くのか、全く理解できない。
「…何ですか、いきなり」
「いや、ちょっとやってみてぇと思って」
「…キミにそういう趣味があるとは知りませんでした」
「ねぇよ!!…ただどんなもんか興味あるだけだ」
「…まあ、確かにそういう年頃ではありますけど」
いわゆる思春期。
学年の中で付き合い始めたというカップルの噂を幾つも聞いている。
目の前の彼も、何度か告白されていたように思う。
だが残念ながら、帝光バスケ部には誰かと付き合うっているような暇が殆どないし、彼自身桃井を幼馴染としてきただけあって女性の選り好みが激しい。
結局付き合う、といった雰囲気には殆どならなかった。
「何で、ボクなんですか」
「何でって…。オマエならいいかと思ったから」
「簡単にやらせてくれそうとか、そういう理由ですか」
「何でそんな卑屈なんだよ…」
「…意味が分からないです」
「…やってみればわかんじゃねぇ?」
「なんでそんなに短絡的なんですか!っちょ……っ…」
強引に引き寄せられ、唇を重ねられる。
熱い。
「…あー、やっぱいけるな」
「…何するんですか」
「男のでも、口って結構やわらかいな」
「…他はそうでもないと思いますよ」
「…試していいのか?」
挑戦的に尋ねられた言葉に、どう返すべきなのか、戸惑う。
「…試したいんですか?」
「…ああ」
「……」
「テツ」
「…ダメですよ」
「なんで?」
「…馬鹿じゃないですか?」
「本気だよ」
「…っダメです、とにかく、ここでそういうのはダメです」
寄せられる顔が、妙に色っぽい。
目が合わせられない。
「っちぇー。じゃあ、また家来いよ」
「…明らかに覚悟が要りそうですね、それ」
「着替えも持ってくるか?」
「…どこまで冗談かわかりませんよ」
「冗談じゃねぇからな」
不敵な笑みに。
からかわれているのか、そうではないのか、わからなくなる。
それでも挑発を断れる自信がない。
こうやって迫られれば、何もかも許してしまいそうだ。
そんなことを考えている時点で、もう、完全に押し切られてしまう予感がした。