「黒子、お前。実は無理してるだろ」

言われて、立ち尽くした。
あまりにも図星で、どうすることもできない。
 

疲れて、疲れて。

考えることにも、走ることにも。

今のことしか考えないで。

いつかダメになるかもしれない道を眼を塞いで走っている。



そのままのボクを、木吉先輩が、見ている。


取り繕わなくてはいけない。

内側など、そう簡単にさらけ出してはいけない。


なのに。


「よしよし」


引き寄せられて、撫でられる。

子供のように扱われている。
他の人にされると、嫌で仕方ないのに。
どうしてかこの人のは嫌じゃない。

それがあまりにも自然で。

甘えたくなる。


「よく頑張ってきたな」


余計なことを言わないでほしかった。

泣きそうに、なってしまうから。


「オレ達の前でそんなに我慢してることないんだからな」

「…でも、迷惑に決まってます」


重い。

鬱陶しくて、邪魔になる。


ボクはこの人たちの重荷になりたくない。


「そんなに卑屈になるな」

「……」

「言えないんなら言えなくてもいいから。傍にいろよ」

「……」

「申し訳ないとか思わなくていいからな。言いたいことがあったら言えばいい」



「…カッコよすぎです」

「素直に甘えとけよ」

「…はい」


暖かい。

貴方の腕の中が好きだ。

こんなにも、居心地がよくて。


泣きたくなる。










そうしてこの人の腕にすがってしまうボクを。




どうか誰か。




笑って。