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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
ただふらりと出かけたところで出くわした。
インターハイ目指して戦う中。
誠凛と秀徳が、戦う少し前。
出会ってしまったのは、偶然か、必然か。
「あれ」
「…黒子」
「…こんにちは」
かつては毎日会っていたというのに。
今となっては、珍しい姿となってしまったものだ。
今更話すことも、何もないけれど。
「何か欲しい本があんの?」
「ええ、まあ」
「そーでなきゃわざわざ来ないか。読書家なんだ?」
「そうですね」
「本読んでる方が、ずっと似合うと思うけどね」
「…よく、言われます」
高尾の棘のある物言いにも、黒子は動じない。
そうだろうと、緑間はなんとなく思った。
いつだって、自分のことで、黒子が声を荒げることはなかった。
「だろーね」
少しつまらなさそうに高尾は言った。
挑発に乗ってほしかったのだろう。
「でも読んでる暇なんてあるの。練習、佳境でしょ、今」
「まあそうですが。移動中でもなんでも、読もうと思えば読めますから」
「ふーん」
「…キミたちも、用事があってきたんじゃないんですか」
「ああ、コイツが買いたい本があるって言うからさ」
「もういい。帰るぞ、高尾」
そう言って、高尾に背を向ける。
「あれ、結構欲しいって言ってたやつじゃなかったっけ」
「勝手な憶測で物を言うな」
「あんまり小さいとこには置いてないよーな奴なんでしょ?じゃ、ここで買ってかなきゃ次来るのめんどいじゃん」
「余計なお世話だ」
高尾は動く様子無く、その背を見つめている。
「教えてくれたら、探すの手伝いますけど」
「ホラ、こー言ってくれてんじゃん。あのさ、あの作家の…」
「高尾!」
きつめに名を呼んだが、高尾は怯む様子を見せなかった。
黒子は頷いて歩き出す。
余計なことを。
舌打ちしたい気持ちに駆られながら、口を開く。
「いらないと言っただろう。余計なことをするな」
「…キミの言うことは相変わらずわかりません。買ってしまえばいいじゃないですか」
「理解しろなどいっていない。オマエの面倒になどなりたくはないのだよ」
「…じゃあボクがさっさとここからいなくなればいいんですよね?」
黒子は呆れたように言った。
先回りして言質を取られているような気になって、酷く、苛々する。
「黙れ。大体勝手に消えておきながら何事もなく接してきてどういうつもりだ。不可解なのだよ」
怒鳴りつけるように、畳み掛ける。
「どうせお前にとっては、あの頃のことなど既に過去のことなのかもしれないがな。それに振り回されたこっちの身にもなってみろ」
黒子は、緑間を見上げて静止している。
ただ静かな瞳。
緑間の、大嫌いな眼。
それを睨むようにして見下ろしながら、緑間は続ける。
「距離を置きたいのなら最後までそれを貫け。中途半端にかかわってくるな。鬱陶しい」
「……」
「新しいチームメイトを得て違う自分にでもなったつもりか。勘違いも甚だしいな。
オレ達を見限ったのなら、昔のように接するなど馬鹿らしいことはやめろ」
黒子は、目を伏せた。
話は終わったとばかりに、緑間はそこを立ち去ろうとする。
その背を追いかけるように、黒子は呟いた。
「ボクがキミたちを捨てたんじゃないです」
冷たい声。
緑間は振り向いた。
黒子はこちらを見ていない。
あの頃と同じだと、ふと、思った。
「キミたちが、ボクを必要としなくなっただけです。だから、いなくなれた」
「……」
「…ボクが、キミたちに、何の未練も感じていないと。……ホントに、思っているんですか」
告げられた言葉は、かつてなく、弱々しいものだった。
内側の傷跡を。
除かせるような、小さな悲鳴。
「思っているんだとしたら、キミこそ、何もわかってはいないです」
沈黙が、降りる。
穏やかなクラシックが流れる店内。
そこだけが、暗く、重い。
「…何でもないです。今の、忘れてください」
黒子はそう言って、顔を上げる。
いつもの眼差しを湛えて。
「ボクはボクのやり方で戦う。それだけです。口で言っても何も始まりません。
試合でそれを示すつもりです。その時の試合で、ボクができることが全てです。…失礼します」
黒子はそれだけ言って、逃げるように本棚の影に滑り込んだ。
高尾は追おうと思えばできたが、緑間が動かなかったので、余計な手出しはしなかった。
けっして戻らない、誰にも理解しえない、キセキの絆。
緑間は暫く、黒子のいなくなった場所を見つめていた。
高尾が、ねーどーすんのと問うてくるまで。
結局、本は買わなかった。
緑間には黒子の言ったことが半分しか理解できなかった。
手を離したほうは、手を離された方のことなど気にしてもおらず。
置いていかれたほうは、置いてったほうの気持ちに、気付くことはできなかった。
ただ、何故かと。
問うことしかできず。
距離は、大きく開いたまんま。
ボクがキミたちに何の未練も抱いていないと、本当に思っているんですか。
できるものなら。
ずっと一緒に居たかったに、決まっている。
先に手を離していたのはそっちだ。
そっちじゃないか。
それにボクがついて歩くのをやめたら、誰も、気付かなかっただけだ。
気付けるほど近くにもう誰もいなかった。
それならボクがそこにいたっていなくなって。
何の意味もない。
って、ことだ。

別の話に仕上げればよかったんですかね、黒子と緑間と。
黒子に真っ向からケチつけてくるのは秀徳組だけのような気がします(花宮はともかく)。
あと、キセキの中で緑間と黒子だけが地道な努力派なので、その辺で他のcpとかとはちょっと変わってくるんですよね。
7日は七夕話を0時にあげるだけでその後の更新の予定はありません。
いや更新してもよかったんですけどね。
なんか予定通りにいかなかったので投げてしまいました(汗)
でも土日は頑張ってますよ^^
1週間の内で少しでも楽しめるお話があればいいかなぐらいに考えております(汗)
では、また!

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