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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
今日はスポーツドリンクを作る当番だった。
別に大変なことは全然ない。
粉末に水を混ぜて、それにちょっと塩を加えるだけだから。
でもバスケ部の人数は多いから、普通何人かで分担してやるんだけど。
今日はSHRが長引いてるらしくて全然来ないから、一人でやってしまおうと思って、手洗い場へ向かってた。
「あれ、桃っち大変そーッスね。手伝おっか?」
「テツ君にきーちゃん!大丈夫だよ、まだ水入れてないから重くないし」
「でも帰りが大変でしょう」
「それは、流石に分けて運ぶよ~。選手は練習するのが仕事なんだから、気にしないで」
そんなことを横を向いて話してたら、前に注意が向かなくて。
階段を上ってきた男子と接触して、足を踏み外した。
「え」
「っ!!!」
「!!」
「桃っち!!」
目の前が真っ白になった。
気付いたら思いっきり道具が散乱してて。
ついた膝と手が痛いというか熱いというか。
やだ、恥ずかしい。
痛いとかそれよりもさきに涙が出そうになる。
「桃っち!!大丈夫!?」
「うわっごめ…!!」
「だいじょぶ…。ちょっと痛いけど」
「ちゃんと動かせます?折れたりとかしてませんか」
テツ君の冷静な声が聞こえてきて、頭が冷えた。
冷静に、怪我の具合を確かめる。
手のひらは少し擦れて血が滲んでいた。
体を起こすと、膝も結構すりむいていて。
こんな怪我をしたのは、久しぶりかもしれないと思った。
「歩けますか?」
「保健室まで運ぼうか?」
「ううん!全然たいしたことないから。…それより、どうしよ、これ」
ほっとくわけにはいかない。
片付けないといけないし、スポーツドリンクも用意しておかなきゃ皆が困る。
「黄瀬君、お願いしてもいいですか」
「あっはいッス!」
「他のマネの子に聞いたらすぐわかると思う。ごめんね」
「桃っちのせいじゃないッスから」
きーちゃんは優しい。
でもきーちゃんに運ばれてるところなんか見られたら大騒ぎになっちゃうからそれはやめておこう。
「大丈夫?ごめんね」
「うん大丈夫、気にしないでいいから」
謝ってくれた男の子に笑いかけて、待ってくれてるテツ君の方へ向かった。
普通はぶつかった彼に世話をしてもらうのが妥当なのだろうけど、まあ、考えないことにして。
「とりあえず、洗った方がいいですね」
「うん」
洗い場に行って、水道を捻る。
流石に、ちょっと沁みた。
「これ、使ってください」
「え?でも、テツ君これから使うでしょ」
タオルが差し出される。
確かに膝を洗ったら、水が靴下とか、靴にまでかかってしまうだろうけど。
「一応予備がありますので」
「でも、汚れちゃうよ?」
「別に気になりませんよ」
「…じゃあ、お借りします」
「はい、どうぞ」
ああ、カッコいいなあ。
部室まで戻ったら私もタオルぐらいは持ってたんだけど。
折角だから借りておく。
テツ君の匂いがした。
やさしい、やさしい香り。
保健室に入ると、丁度誰もいなかった。
「…先生、もう帰ったのかな?」
「いえ、まだいると思いますが。しょっちゅういないんです。とりあえず手当だけ先にしてしまいましょう」
「あ、うん」
「そこ、座っててください」
テツ君は、慣れた仕草で棚から道具を取り出してく。
ぶつかったりぶつかられたりで怪我することが多いから、慣れてるんだと思う。
バスケって結構荒いスポーツだから。
消毒液と、ガーゼにピンセット。
傷パッドみたいな、大きな絆創膏に、ティッシュ。
テツ君はそれだけ持って、近くの机に置くと、私の前に跪いた。
「テ、テツ君!?」
動揺する。
まあ確かに手当てはそうしたほうがやりやすいけれど、なんだか。
なんだか、傅かれているみたいで。
「男の子に触られるのは、イヤですか」
「あ…い、嫌じゃないんだけど…」
凄く、緊張する。
そうですかと頷かれて、消毒液が撒かれた。
ぴりっとするけど、正直怪我自体の痛みなんて全然感じない。
ただ、鼓動が煩くて、顔が熱くて。
「沁みますか」
「…平気、だよ」
そっと、傷口を拭われる。
指が触れるだけで。
心臓が破裂しそうだ。
スカートの裾が妙に気になる。
別にいつもこれぐらいの長さなのに。
身が持ちそうにないのに嬉しいの。
ああなんかもう全部バレバレなんじゃないだろうか。
多分自分で見ても私の顔は真っ赤だ。
「足、少し伸ばしてください」
言われるとおりに伸ばした膝に、絆創膏を当てられる。
丁寧な仕草。
なんでこんなに、どきどきしてるんだろう。
理由は分かってるけど。
こんなの、手当なら当たり前のことなのに。
「手も怪我してましたよね、見せてください」
「あ、うん」
「…これぐらいなら、絆創膏は張らないほうがいいかもしれませんね」
「うん、色々、ありがとう…」
消毒されて、拭われて。
手当ては終わり。
やっと終わってくれたような、安心した気持ちと。
もう終わってしまったのかという、残念な、気持ち。
もうちょっと、よく見てたらよかったかな。
折角テツ君が私のために、手当てしてくれたんだから。
「…靴下、汚れてしまいましたね」
「え?あ、ううん!こんなの全然いいから!代えならいくらでもあるし!」
我ながら不自然なぐらいのテンションだ。
ああ、もう、恥ずかしい。
幸せなんだけど。
幸せなのに、恥ずかしい。
「…とりあえず保健の先生には置手紙残しておいたので、戻りましょう」
「そだね!テツ君練習しなきゃだし」
とりあえず、そっちが優先だ。
テツ君の足を、引っ張ってしまいたくはないもの。
「あーさつきにテツ。どこ行ってたんだよ」
「ちょっと色々ありまして」
戻って早々、青峰君に出くわす。
まだ準備運動の段階だった。
いきなり派手な運動したら、身体壊しちゃうし、間に合ってよかった。
「あれ、怪我してんのか」
「まーね」
「馬鹿っぺーな、ガキかよ?」
「うるさいわね!昔は青峰君だってよく転んでたじゃない!!」
「るせーよ!オマエだって転んで歩けない~とかよく泣きべそかいてたじゃねーか!」
「いつの話よ!!」
「覚えてねーのかよ!オレが何回オマエを送ってってやったと思ってんだ!!」
それは、そうだった。
何回も、負ぶわれて家に連れてってもらった記憶がある。
手当てなんて危なっかしくてとてもさせられなかったけど。
でも何もこんなところで、しかもテツ君の前で言うことない。
「青峰君だって泣きべそかいてたこと何回もあったじゃない!!」
「相当ガキのころの話蒸し返してんじゃねーよ!!」
「…相変わらず、仲がいいですね」
少し呆れたような声。
「違うの!青峰君なんかいっつも泣いてる私馬鹿にしてたんだから!!」
「人聞きの悪いこと言うんじゃねー!!」
「おいそこ、いつまでも騒ぐな!」
ミドリンに一括されて。
仕方なくその場は引き下がる。
ほんと、青峰君は分からず屋だ。
うるさくて余計なことばかり言ってて、いつもいつも、怒らされてばっかりで。
ホントに、困ったヤツ。
でも、今はアイツについてぐちぐち考えるのはやめておこう。
テツ君のタオルを抱える。
やさしい、私の、大好きな人。
この幸せな気持ちを、あっさり消してしまうには、もったいなさすぎるから。

黒桃は久しぶりですね。
フェアリィテイルがあまりにもうまくできたので中々挑戦する気にならずにいました(汗)
青峰と桃井がこんな関係だったらいいなという妄想も加えつつ。
桃井はやっぱ青峰のことも好きだと思うんですよねー。
ベクトルは違うんでしょうけど。
お姫様にしてもらうか小間使いに成り下がるか。
言い方は悪いですけども。
青峰と桃井と黒子はもう3人できゃっきゃしてたらいいんだと思いますよ!
それ見てるだけで幸せになれる気がします。
全員が全員にとってかけがえのない存在であることって凄く大切なことだと思います。

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