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どこへも行かないで。
馬乗りで、首に手をかけて。
泣きそうになりながら、静かに、喚く。
声も、体も、弱々しく震えていた。
黄瀬は、その姿を、ただ優しく見つめる。
その手に自分の手を重ねた。
震える指を、そっと包み込む。
行かないよ。
彼の頬を伝う涙を拭ってやりたかったけど、動くのは、まだよくなさそうだ。
彼の恐怖を助長するだけ。
だからただ、声を重ねる。
どこにも行かないよ。心配しなくていいから。
脅えた目が、こっちをみている。
最初からキミしか見えていないのだから。
本当に心配などいらないのだけど。
そっと手がずらされて、覆いかぶさってきた身体を、優しく抱きしめた。
暖かい。
安心する。
本当は彼になら殺されたっていい。
全て満足。
キミがいないと生きていけない。
そうささやかれた言葉に、それでいいよと返した。
そうであってくれたら嬉しい。
2人で生きて、2人で死にたかった。
他のものなんて要らなくて。
ただそれだけあればいい。
大丈夫。
オレも、生きていけないから。
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