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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
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(以前書いた家族http://mayoimichi.darumasangakoronda.com/Entry/230/の関連作品です。緑黒で同棲してます。光樹という親戚の子を預かってます)


「お帰りなさい」
「…ああ」

夜遅く、帰ってきた緑間に、黒子は立ち上がって、料理を温めにかかった。
 



「まだ、起きていたのか」
「仕事してましたから」
「そうか」

黒子は今、自宅で出版関係の仕事をしている。
自宅でできるような、必要な文章を考えたり、添削を行ったりする仕事だ。
それ程仕事量は多くはないが、それでも、やりがいがあると、黒子は感じている。
その傍ら、自分でも小説を書いていたりもするが、それは、殆ど世の中には出ていないのが現状だ。
結果的に、黒子の収入は、あまり、ない。

この家の収入は、殆どが緑間に依存している。

「今日は、遅かったですね」
「ああ、仕事が溜まっていてな」
「キミのことだから、本当は明日でもいい仕事でも、今日やってしまったりしているんでしょう?」
「…まあ、そういうものもあるにはあるな」

黒子も、大学卒業後会社に就職したが、数年後仕事内容が合わず、結局辞めてしまった。
黒子自身は続けようとしていたのだが、緑間が、合っていない仕事をすることはないと言って、黒子は結局それに甘えたのだった。
尤も緑間に言わせれば、黒子を上手く使えなかった会社がどうかしているとのことだが。

その後黒子はいくらか仕事を探したが、緑間の親戚の、光樹という子を預かることになったこともあり、今は、ずっと家にいる。
だから、家事は殆どが黒子の仕事だ。

「光樹は?」
「寝ちゃいました。キミにいくらか話したいこともあったみたいなんですけど」

光樹は小さい頃からちょくちょく黒子と緑間で面倒を見てきたこともあって、バスケが好きだ。
小学校のころからバスケットボールに携わり、中学に入った今では、バスケ部でバリバリ活動をしている。
家でもボールを抱えて、常にいじっていると言っても過言ではない。

「バスケ関連か」

それを緑間は当然知っている。

一緒にいるときにはバスケの話だけにとどまらず試合を見たり、練習を一緒にしたりしているのだ。
緑間の1日はほぼ仕事とバスケで塗りつぶされている。
けれど彼は、それをちっとも苦にしてはいない。

「それは、そうでしょう。キミたちは、それ以外のこと殆ど喋っていないじゃないですか」

そんなことを言いながら、黒子も、それを楽しんでいるのだが。

「そうかもな。中学は楽しそうなのか」
「ええ、友達も沢山出来たみたいですよ。ボクらとは違って、社交家ですからね」
「…。別に、人間関係を嫌がってはいないが?」
「それでも用件がない限り自分から話しかけたりはしないでしょう、キミは。中学の時も、友達あんまりいなかったと思いますが」

黒子は、温めた料理を緑間の前に並べていく。
緑間はちゃんと手を合わせて、箸を手に取った。

「ボクらと一緒にいるから、社交家に育ったんですかね」

黒子は、緑間の向かいに座ると、苦々しそうに呟いた。
黒子も、必要を感じなければほとんど口をきかないからだ。
別に会話が嫌というわけではなく、沈黙を厭っていないだけなのだが、中々、それは誰しもに通用することではない。

「まあ、生い立ちも特殊だからな」
「…苦労してますからね」
「アイツ自身はそれほど気にしてはいないようだがな」
「強い子ですよ」
「ああ」

生まれてすぐに親戚を盥回しにされ、父が再婚したからそこで暮らせるかと思えば義母と合わず緑間の両親の元で暮らすことを選び。
かと思えば緑間の父が体調を崩し世話ができなくなったからとここへ引き取られてきた。
中々、ぐれるには十分な条件だ。

それでも、明るく元気に成長してくれた。

「また、話を聞いてあげてください」
「ああ、明日は早く帰れる予定だ」
「そうですか、光樹君、喜びますよ」
「また、ストバスにでも行くかな」
「元気ですね」
「身体を動かしていた方が、むしろ調子がいい」

こうやって遅く帰ってきた日も、緑間は筋力を落とさないための筋トレを欠かさない。
それは彼が生きていく上での人事を尽くすことでもあったし、光樹にバスケを教える立場でのそれでもあった。
緑間の体は、まだ、現役時代とそう変わらない。

「ボクも、もう少し動くべきですかね」
「そう思うならなんとかしろ」
「買い物とかは徒歩で頑張ってるんですけど。光樹君がよく食べるから、買い物の量が大変なんですよ」
「いいことだろう」
「そうですね。彼、どこまで大きくなるでしょうか」
「190いきたいと本人は言っていたな」
「多分行くんじゃないんですか?緑間家の遺伝子は大したものですよね」

黒子はため息をつく。
黒子は結局170に届かなかったというのに。

「キミより大きくなりますかね」
「…なったらなったで複雑だな」
「ふふ。もう、ボクより大きくなってますからね。すぐ、キミにも近くなりますよ」
「まあな。バスケしていても、わかる」
「早くダンク出来るようになるといいですね」
「バカスカダンクばかり決めるような真似は慎んでほしいがな」

誰かのように、と緑間が苦々しげに言うので、黒子は可笑しくて笑った。
昔から彼らと緑間は相容れなかったなと思いながら。
黒子は、どちらのプレイも、価値あるものだと思っているが。


がちゃ。
ふと、扉が開いて、話の対象である少年が顔を出した。
そして緑間を見つけて、眼を細めて笑う。
元々、瞼は重たげであったが。

「あ、真さん、お帰り」
「ああ、ただいま」
「すいません、騒がしかったですか」
「ううん、トイレ行ったら、声がしたから」
「そうですか」

牛乳でも飲みますかと黒子が聞いて、じゃあ貰う、と、光樹は黒子の手からコップを受け取った。
冷蔵庫を開けて、取り出し、注いだ。

「真さん、今日は遅かったんだね」
「ああ、ちょっと仕事が多かったからな」
「そっか、お疲れさま」
「明日は、早く帰れるそうですよ」
「ホント!?」
「ああ、予定通りなら」

光樹は、嬉しそうに笑った。
つられて、2人にも、暖かな空気が流れる。

「そっか、じゃあバスケ付き合ってくれる?」
「いいだろう」
「光樹君、あんまり興奮すると、寝られなくなりますよ」
「大丈夫、疲れてるからすぐ寝れるよ」
「ああ、明日も朝練か」
「うん。もうちょっと寝たいけどね」

光樹は苦笑する。

「まあ、仕方ないな」
「うん、頑張るよ」
「こっちも早起きしないといけませんから、大変ですよ」
「ごめんね、テツヤさん」
「いえ、どうせ緑間君も早いんですし」
「健康的な生活が遅れて悪くないだろう。それに、大人はそれ程睡眠時間が要らんからな」

「でも、テツヤさんも早く寝てよ」
「はい、そうですね」
「…もう寝ればいい。後片付けは、オレがする」
「…ちょっと、申し訳ないですね」
「オレが洗おっか?」
「いらん。オレが遅くなったんだ。オマエらはとっとと寝るがいい」

緑間の断定的な口調に、黒子と光樹は、顔を見合わせる。
そして笑った。

「真さんって優しいよね」
「この程度、当たり前だ」
「えー」
「照れてるんですよ」
「黒子、黙れ」

「あはは!でも、優しいよ」
「あんまり言うと、照れ隠しが酷いですよ」
「そうなの?」
「まあ、キミには結構素直ですけどね」
「うるさいぞ」
「あはは、ホントだ」

楽しそうに、会話は弾む。
緑間は少し不機嫌そうに、さっさと寝ろ、と言った。

「はーい。…あ、そうそう!次の日曜試合があるって言ったよね、オレ、それでスタメンになったんだ!」
「ほう、よかったな」
「よかったですね。緑間君、確かその日空いてましたよね?」
「来てくれるの!?」
「…ああ、空いてるな。行こう」
「やった!楽しみにしてる!」
「楽しみにするのはこっちですよ。頑張ってくださいね」
「うん!」

黒子の言葉に、光樹は、本当に嬉しそうに、返した。

「嫌がらせとかはないだろうな」

緑間は、浮かれすぎることなく、そんなことを尋ねる。

「あー…ちょっと先輩たちの眼は痛いけどね。でも、大丈夫だよ」
「そうか。何かあったら、言え」
「うん。ありがとう」

後輩が台頭することを望まない輩はいつもいるものだ。
緑間も黒子も、その経験者の1人である。
だからこそ少し心配にもなる。

それでも、素直に喜んでいた。
自分が、レギュラーになれたかつてを思い起こして。

「では、明日はきっちりしごいてやらんとな」
「うわ、怖いなー」

緑間の意地悪い言葉に、そう言いながらも、顔は、とても嬉しげだ。

「じゃあ、楽しみは明日にして、そろそろ寝ましょう。遅刻したら、居残らされますよ」
「うん、そうだね。おやすみなさい、真さん、テツヤさん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」

丁寧に挨拶を交わして、光樹は寝室へと向かった。
ぱたん、と、静かに扉は閉じる。

黒子と緑間は何となくそれを見送って、そのまま視線をお互いへと移す。

「本当に、嬉しそうでしたね」
「当然だ。もう、忘れたのか」
「…忘れるわけないでしょう」

窘めるように、黒子は呟く。
忘れられるはずなどない。
かつての日々。
チームメイトたちと研鑽して、ゲームに出られる権利を、勝ち取れた喜び。

「レギュラーを貰うのが当たり前なんて言うキミよりは、ずっと嬉しかったと思いますが」
「…そんなことを聞くのは、初めてだな」
「その頃、ボクら、そんなに仲良くなかったじゃないですか」
「確かに」
「外されないよう、ずっと頑張っていたんですよ。ボクなりに」
「知っているさ」

緑間は、ふっと息をつくように、優しい声音で言った。
黒子も、それは疑っていなかったから、言い返すことはしなかった。
これが黄瀬や青峰なら、反論していたかもしれないが。

そういう地道な努力を評価してくれる人だと、ちゃんと、知っている。
知り尽くしているからこそ、今、こうして傍にいる。


「…ごちそうさま」
「ああ、ちゃんと足りました?」
「十分だ」
「そうですか」

黒子は、片付けようと食器に手を伸ばす。
が、緑間が構わんと口にした。

「片づけると言っただろう。明日早いのだから、もう寝ろ」
「…キミこそ、疲れてるくせに」
「疲れてなどいない」
「いいですから。早くお風呂入ってきてください。どうせいつもボクがやってるんだし、同じことです」

黒子はそっけなくあしらって、食器を流しへと運んでいく。
無理やりやめさせるほどのことでもないので、緑間は、ただ、苦々しげに息をついたが、それだけだった。
せっかく、たまには代わってやろうと言うのに。

光樹とバスケに行く場合、殆どの場合時間が惜しいので黒子にばかり雑用がいってしまう。
緑間はそんなことも一応気にしてはいたのだが。

「心配しなくても、キミが上がるころには寝てますから。起こさないでくださいね」
「…愚問だ」

黒子と緑間は、同じ布団で眠っている。

それは、この部屋を借りた時はまだ光樹を住ませることなど考えていなかったからだ。
プライバシーを守るために別々の寝室を用意した。
そして今は、かつての黒子の部屋を、光樹に譲る形となっている。

別にそれで不都合は生じなかった。
お互いの一人の時間はちゃんと尊重されていたし、どちらかが特別に寝相が悪いというわけでもない。
こんなふうに遅くなった時、緑間が煩くして、黒子を起こしたことも、ない。

だからこれは、軽い冗談だ。

「おやすみなさい」

黒子は風呂場へ向かう緑間に、軽く、そう声をかける。

「…おやすみ」

緑間はそう答えて、黒子に背を向ける。
懐かしいことを、今日は、思い出したものだ。

かつてはこんな風に割り切ってすっきりと言い合いを終わらせることもできなかった。

その変わった感覚が、全然嫌ではなくて。
むしろ、心地いいと思えるから。
遠くに来てしまったけれど、寂しくはなくて。

ここに落ち着くことができた幸せだけが緑間の心を占めたのだった。

きっとそれは、皆、変わらなかった。






 

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コメント
 
続きだよ!
続き?書いてみました^^
あと少しあるので、じわじわ公開しますねー。
パラレル?ものは、妄想のしがいが合って書きやすくていいですね!
なんか、今はそっち系のことをよく考えます。
青峰とか、黄瀬でもまた書いてみますね。別ルート!

拍手お返事です。

おたふくさん、こんにちはー♪
いつもコメントありがとうございます!
素敵家族と言ってただけて嬉しかったです!
黒子と緑間は主義主張がしっかりしていて揺るがないので、いい子供の手本になりそうだと思うのでした。
カタそうですけどね(笑)

絶対二人は親ばかですねー(笑)
我が事のように大切にしてますよ、きっと。
緑間とか滅茶苦茶自慢してくれそうですもん。
黒子は口にはしなくても、すっごく大切そうに、見ていてくれそうですね!

ではでは、またおいで下さいまし^^
【2011/09/14 23:52】 NAME [静] WEBLINK [] EDIT []
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