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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
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「おい黄瀬!倉庫ちゃんと片付いてねーじゃねぇか!!」
「あ、マジッスか?スイマセン、慣れてないんで」
「いい加減にしろよ!オマエみたいな初心者がいるとこっちが迷惑するんだよ」
「最低限のことができねーならとっととやめちまえ」
「ハイ、スイマセン」


少し先で繰り広げられているのは、最近増えた光景だった。
黄瀬君に立場を圧迫されている3年生が、その鬱憤を晴らすために。

彼が倉庫を片付けたのは、教育係としてちゃんと確認した。

だから、散らかっているのなら、それは彼らがやったのだ。


彼を貶める理由にするためだけに。


黄瀬君はひとしきり謝って、少し疲れた顔で再び倉庫に向かって歩き出す。

「すみません」
「っわ!黒子っち!?いつの間に!」

彼がボクの存在に慣れるには、もう暫くかかりそうだなと思う。

「ちゃんと、見張っておけばよかったですね」
「黒子っちのせいじゃないッスよ」

困ったように笑う顔は、きちんと割り切った後のもので。
強いのだと思った。

これなら、ここでもちゃんとやっていけるだろう。

最悪の事態になることはあるまい。
彼らも、バスケが好きだから、そうせざるを得ないだけで。
やがて収まる。
誰の時だって、そうだった。

「…手伝います」
「いや、マジで大丈夫ッスよ!!黒子っちは自分の練習してて」
「とりあえず、どんな状態になってるかは見ます。具合によってはキャプテンに言わないといけません」
「うーん…できれば、言わないでほしいッスけど」
「…告げ口みたいだから、ですか」
「…だって、そうじゃないッスか」
「ダメですよ。ちゃんと、手に負えなくなる前に処理するべきです。…ボクらとしても、居心地が悪いですし」
「黒子っちはほんと、真面目ッスね」

彼は、諦めたように笑う。
我儘なだけの子供かと思えば、そうではない。
彼と過ごせば過ごすほど、そう思うようになった。

悪意の受け流し方を知っているのだ、彼は。

「…黄瀬君は、意外と、大人ですよね」
「えっなんスか急に?」
「いえ。あまり、怒ったりとかしませんから」
「…いやー、だって、変な時期に入ったオレだし。初心者なのは事実だからさ」
「それでも、普通もっと怒るものだと思いますよ」

「んー、まあ、やり過ごせるうちはやり過ごしといた方がめんどくないんで」
「…やっぱり、大人です」
「…そう言ってもらえるのは嬉しいけど。…あれかな、モデルとかやってるせいかも」
「ああ…あっちも、競争社会ですもんね」
「そうなんスよー。ま、あっちはお金からんでるしね」

赤司君に指導係を任命された時のことを思い出す。

『潰されないようにちゃんと見てやれよ。…まあ、そんなタマじゃないだろうけどな』

一体彼はどこまで見通しているのか。
今更怖くなったりはしなかったけれど。


倉庫は、まあ、酷く散らかっていた。
機材が壊されるようなことはされていないが、倒れ、散乱し、いつもは触れないようなところまでひっくり返っている。

ここまでするのも、一苦労だろうに。

「あちゃー…。これは骨が折れそう」

恨むのではなく苦笑する。
そこに素直に感心する。

怒るのは簡単だ。
けれど証拠もないままそうしても、何の得もないのだから。

「…これだと配置もわからないでしょう。教えます」
「…ごめんね、黒子っち。あんま大変なことはしないでいいんで」
「キミが謝ることでもないですよ」


時間をかけて片付けて。
下校時刻よりも遅れて、整えた。
バスケ部が遅れるのはしょっちゅうで、今更注意なんかされないけれど、あまり遅くなるのは避けなければならない。

「うわー、結構遅くなっちゃったッスね」
「まあ、ちゃんと片づけたんで、大丈夫でしょう」

出ると、先輩達が入口付近にいた。
数人で塊になって、立っている。

その中に黄瀬君のせいで2軍落ちした人がいるのが分かった。

待ち伏せされたのだろう。

そう見当をつけて、近寄る。
黄瀬君が困ったように声を上げるのが聞こえたが、無視した。


「すみません、体育館閉めますので、先輩達ももう切り上げてください」
「…黒子か。いーよ。俺らで戸締りしとくから」
「…いえ。先輩にそんなことさせられません」
「いや、マジで。練習したいからさ。じゃないと、追い抜かれちまうからな」
「でしたら、明日の朝早く来てください。夜遅くなるのはよくないです」

きっぱりと、断る。
その言葉に、真意があるとは思えない。

「…オマエも、生意気だよな、黒子」
「何のことですか」
「いっちょ前に庇ってるつもりか?お前だって本当は、1軍にいられるような実力ない癖に」

浴びせられる苦言は久しぶりだった。

「つーかなんでお前がレギュラーなんだよ。意味わかんねーし」
「どうせならお前が代わってやれよ。その方がふさわしいだろ」
「っちょ…!」
「いいです。残念ですけど、ボクと黄瀬君では役割が違うので。交代することはできないですね」

黄瀬君を制する。
今は、ボクに対しての暴言をどうこう言っている場合ではない。

彼は、以前ボクに向けていた敵意を少し恥じているところがあったから。
気にしてしまうのは仕方ないけれど。

でもボクのことなんて今は本当にどうでもいいのだ。

「っそーかよ!流石一芸だけで選ばれた奴は言うことが違うな!」
「一芸でのし上がったモン同士気があってんじゃねーの?下らねぇ」
「オマエらみたいなの選んでる時点で帝光も終わったよな!」

「やめてくれませんか」

声が冷えたのを実感する。
酷く、イライラする。


馬鹿にするな。

悔しくてもつらくても、人間として。
踏み越えてはいけない一線がある。


口に出してはいけない言葉がある。


「ボクのことは実際そうだから文句ありません。けど、黄瀬君はちゃんと努力してここまできてます。
実力と努力が評価されたから1軍入りしただけのことです。彼のような実力ある選手を評価してこそ強豪だと思います」
「ってめぇ…」
「ふざけんなよ!」

振りかぶられた拳が飛んでくるより早く後ろに引かれた。
首が一瞬締まって。
背中がぶつかって、止まる。

「センパイ。ダメッスよ後輩に手ぇ出したりしたら。停学でも食らいたいんスか?」

体を支えられたまま聞く黄瀬君の声は、随分と低かった。
ぞくりと、背筋が粟立つ。

ああ、こんな一面も持っているのか。


なんて掴みがたい人なのだろう。


彼らの顔色が、変わった。
それはそうだ。
そういったスキャンダルは避けたいに決まっている。

「……」
「もう帰りましょ、センパイ。戸締りやっときますから」

語調を、少しだけ和らげて、下手に出るように笑って見せる。
腕の中では顔は見えないが、声からそれぐらいは容易に読み取れた。

「……っわかった」
「…いいのか?」
「仕方ねーだろ…」
「…ちゃんとやっとけよ。適当なことしたらただじゃおかねーからな」
「はいッス」



のろのろと、彼らが出ていくのを見送る。

身体に入っていた力が抜けた。
それがわかったのか、黄瀬君が手を離す。


彼がいてよかったのかもしれない。

きっとボクは彼がいなくても、噛みついていただろうから。

そして暴力に持ち込まれれば、ボクでは、歯止めにならない。


「…黒子っち、あんなに相手を刺激するようなこと言ったらダメッスよ」

振り返ると、黄瀬君はなんだか困ったような、どうしたらいいかわからなさそうな顔をしていた。
それでもちゃんとして見えるのだから、綺麗な顔は得だ。

「…許せなかったので」
「…それは、正直嬉しかったッスけど」
「だってキミはちゃんとやってます。普通にキツい練習の後で青峰君にしごいてもらうなんて、普通の覚悟じゃできないです」
「いや、オレ、楽しくてやってるんで」
「それでも凄いです。…彼らに、キミがあんな風に貶されるいわれはありません」

いくら下級生に追い抜かれるのがつらくても。
あんなふうにそれを発散するのは間違っている。

「…でも、確かによくなかったかもしれません。…キミが、また大変になるかもしれませんね」
「いや、オレのことはいいんスよ!……それより、黒子っちがよくないことになりそうで」
「いいです。基本気付かれませんし」
「あ…。…便利ッスね」

いっそボクに来ればすべて単純で楽なのにと思う。

彼ほど目立つ人なら、避けるのも受け止めるのも、もっと大変だろうに。

「…でも、黒子っちは凄いと思うんス」
「…はい?」
「一芸だけなんて、言われるの間違ってる。あんなことできる奴、他に絶対いないから」
「……ありがとうございます」
「オレは、ほんと、凄いと思ってるんで」

こういうところは酷く真っ直ぐなのに。

「…それぞれの役割があるんですよね。だから、力を合わせる意味があるんだと思います」
「…そうッスよ。アイツら、何にもわかってないんス!」

まったく、と腹立たしそうな彼が不思議と可愛く見えて、少し笑った。



「それじゃ、戸締りしましょう。窓閉めてきてください」
「あ、はい」

窓を閉めて鍵を閉めていく。


真面目にこなす彼の姿を見ていると、申し訳なくなる。
教育係だなんて。
ボクが彼に教えられることなんてどれだけあるのだろうか。

偉そうに、上から。

何にもしてあげられることなんて、ないのに。



「すみませんね。ボクがもっと盾になれれば、よかったんですけど」

そう言うと、黄瀬君は眉を寄せた。
綺麗な顔が台無しだ。

「…なんスか、それ」
「青峰君とか、緑間君が教育係だったら、誰もこんなことできなかったでしょうに」

きっともっと楽だっただろう。
もっと実用的なアドバイスが聞けたかもしれない。

「……でも、オレは、黒子っちが教育係でよかったッスよ」
「…何にもしてませんけど」
「黒子っちさ、ぎりぎりまで手を出さないで見ててくれるでしょ?言ってくれるタイミングが絶妙っていうか、ありがたいんス」
「……」
「こういうこともね。あんまり庇われたって弱くなるだけじゃん。…自分の力でやっていきたいから。だから、嬉しい」
「…」
「それにあのヒト達だとオレ滅茶苦茶叱られそうじゃないッスか!そんなのマジイヤッス」
「……そうかも、しれませんね」
「でしょー?」
「はい」

快活に笑う彼に、つられて笑った。


まあこの分では教育係を外れる日もそう遠くはないのだし。


彼の優しい言葉に甘えていても悪くはないだろう。






外へ出て、校門で待ってくれていた青峰君たちと合流した。
おせーぞ、なんて、文句をつけられながら。



それだけで、何があっても、怖くはないと思うのだ。

先輩達には悪いのだけど。
この輝かしい彼らと共に戦いたい。
何と言われようと、それだけは諦められない。

彼らが傷つくぐらいなら、ボクが、その代わりになっていい。

皆で、バスケさえ、できるなら。



ボクがその役割を負えばいい。







 

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