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「それでは面白くもなんともない」
そう赤司君が言ったことを聞いて、身の毛がよだつ思いがした。
変わってしまった。
こんなところまで。
勝つだけでは駄目だという認識は一致している。
けれど、そこからの求め方が、違う。
こんなにも。
こんなにも、恐ろしい、方向へ。
勝つことが当たり前で、面白くないから試合にも出ないだなんて。
確かに赤司君は自分が試合に出ることに拘りはしない人だった。
うまくメンツを切り替えて状況を変えることを好む人だった。
でも、ここまで、彼は、歪んでいただろうか?
「黒子、どうした?」
木吉先輩が、こっちを見ている。
「いえ…何でもないです」
「そうか?まあ、なんかあったらいつでも言えよ」
「はい。ありがとうございます」
言えない。
きっと、誰にも言うことはないだろう。
こんなことを思っているのは、僕だけなのだろうか。
何かが、何かが、おかしい。
恐ろしい。
あの頃から、僕らは、ずいぶん遠いところに来てしまった。
もうわかっていた筈のことを、今になって、再び思い知る。
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