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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
暑く蒸れた体育館から外に出て、深く息を吸う。
街よりは緑が多い合宿所は、少しは開放感を感じさせてくれた。
暑いことには変わりがないが。
しかし、汗をかいた体に、風があたるのが心地いい。
ちょっと散策してみたくなって、ふらふらと歩き出す。
「高尾、時間までには戻れよ」
駆けられた声にりょーかいですと答えておいて、歩き出す。
蝉の声が煩い。
少し歩けば海が見えて、なんとなく爽快な気持ちになる。
「ん?」
視界の隅に誰かがいるのに気付いた。
蹲る、水色の髪のあいつ。
「黒子ちゃんじゃん]
呟いて、近づいた。
多分聞こえていたと思うが、黒子は全然動かなかった。
膝を抱え、頭を垂れている。
「何してんの?」
「…高尾君、ですか…」
体は動かさず、声だけで答えた。
「何?随分元気ないじゃん、だいじょぶ?」
「大丈夫です…」
「あっそう、じゃ、一緒に体育館戻る?」
あえてそういう言い方をした。
どう見ても、誤魔化しているようにしか見えなかったからだ。
黒子は少し黙っていたが、首をもたげて、どうぞお先にと声を絞り出した。
酷く顔色が悪い。
青白くて、今にも倒れるんじゃないかと思うほど。
「…休んだ方がいいんじゃない?」
思わずそう声をかけた。
別に俺に心配する理由はない。
けど、ここまで体調が悪そうな人間を目にしたら、言えることはこれしかないだろう。
「いえ…平気です」
「どう見たって平気じゃねーだろ!無理すんなよ、誰か呼んできてやろうか?」
「結構です。…もう、大丈夫ですから」
壁に手をついて、無理やり立ち上がる。
それだけでつらいのか、呼吸が荒くなった。
「いや…やばいって、それ」
「問題ないです」
ふらふらと歩き出す。
全然大丈夫じゃないだろーが!
「いやでもこんな状態じゃバスケとか無理じゃん」
「できます」
「絶対誰かにふっとばされて倒れるって」
「平気です」
「合同練習で人数多いんだから危ねーよ?」
「中学も相当いました」
取りつくしまもない。
どうしたもんかと思いながら斜め後ろを歩いていると、黒子が思いっきりふらついた。
「!!」
慌てて腕を掴み引き寄せる。
軽い。
そんなに力を入れなくてもなんなく支えられた。
これがバスケやってる奴とは思えないぐらい。
「…すみません」
ばつが悪そうに黒子が言う。
俺は肩を竦めた。
「だから休めってば」
「……」
複雑そうな顔で黙り込む。
こいつ冷静そうなのにこういうところは馬鹿みたいに熱いんだよなぁ。
そんなことを思いながら黒子を見下ろした。
なんて練習馬鹿なんだ。
今ちょっと休めば後で効率よく練習できるとか考えないんだろうか。
あーでも、こいつひ弱そうだから戻ってこれないかもしれないけど。
「誠凛、集合!!」
体育館の方で笛の音がした。
ああ、もうそんな時間か。
俺がそっちに気を取られた一瞬に、黒子は無理やり駈け出していた。
どこにいるのか、少しわからなかったぐらい。
善意で声をかけてやったのに。
不完全燃焼な感じがして、舌打ちした。
でも俺ももう時間がなかったから、走って練習に間に合うようにするしかなかった。
もう倒れるでもなんでも好きにしろよ。
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