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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
テツがいると、何もかもが簡単になる。
そんな気がしていた。
あいつのパスは気持ちいいぐらい正確に通ったし、抜かれるやつの間抜けな顔が爽快だった。
俺は、点を入れることだけに集中できた。
自分で取りにいかなくても、あいつがボールをくれた。
今までそんなやつはいなかった。
俺とは全然違う担当だから、あいつが俺を妬んだりしてないのもやりやすかった。
そういうのも嫌いじゃないし、バリバリした空気もそれはそれで面白い。
けど、俺のシュートを俺と同じぐらいに、いや、それ以上に喜ぶあいつが、俺は、何より好きだったんだ。
「よぅ、テツ!」
「どうも」
部活以外では全然関わらないけど、すれ違うと、声をかけるようになった。
あいつはなかなか見つからないけど、段々コツはつかめてきてた。
俺を見つけるのは簡単なみたいで、俺が気付くときにはあっちはもう気づいてたりもした。
俺が声をかけると、テツがほんの少し、嬉しそうな顔をするのが面白かった。
「今日外周10週だってよ。まじきちーんだけど」
「青峰君なら大丈夫でしょう?いつもケロッとしてるじゃないですか」
「まーな、でも走るだけってのは面白みねーよ」
「君は、本当に面白いことにしか興味がないんですね」
「だってつまんねーことしても意味ねーだろ」
「まあ、それはわからないでもないですけど」
試合でうまくいくと、ノリでハイタッチとかをする。
でも何かテツがちっさくてそんな感じじゃねーから拳を合わせるようになった。
後は肩組んだり、寄りかかったり。
重いとか文句言うけど、本気で嫌がってるわけじゃなさそーだから気にしない。
ホントに嫌な奴は振り払ったりとかするもんだ。
まー嫌がってるやつにするのも面白いけど、緑間とか。
でも話はとことんあわねぇ。
好きな芸能人とか音楽とか料理とか色とかは、はっきり言って全然違う。
テツは意味の分からんことばっかに興味持ってたし、
あっちも俺の好きなもんをよくわかりませんと切り捨てた。
合う話はバスケのことばっかだ。
いつもは一緒にいないけど、バスケの時だけは欠かせない。
そんなやつだった。
イラつくこととか平気でするし、わけのわからんことばっか言ってるやつだけど、そこだけは信頼できた。
だからそれでよかった。
俺たちにとって一番大事なのはバスケだったから、そこだけで、俺たちは最高のコンビだった。
「青峰君ったら!ちょっと!!」
「……あー、さつき?」
「もう授業終わったよ!?帰りのHRにもいなかったからどうしたのかと思った!いつから寝てるのよ!」
「うっせーよ、ねみーんだから勘弁してくれ…」
「まだ寝るの!?もう!そんなんじゃ脳味噌腐っちゃうわよ!!」
腐ってたまるか、とか思いながら起き上る。
嫌な夢を見た。
あのまま時が止まればよかったのにと、思うような夢。
無駄な感傷。
もうあいつは俺を見限ってどっか余所に行っちまったってのに。
別にあいつはもう俺のバスケに必要ない。
俺は一人で何でもできるし、周りだって俺の力を知ってるからボールをよこす。
「で、今日は部活出るんでしょうね!?」
「あ?めんどいな…」
「ちょっと!もう2日も休んでるじゃない!!」
「うっせーよ。だっておもんねぇ」
でも誰も、あいつほど俺のタイミングに合わせたパスを送ってくるやつはいない。
ああ。
早く、忘れてしまいたかった。
これは未練じゃない。
だって、別に俺はもうあいつとバスケがしたいわけじゃないんだから。
いっそ出合わなければよかったのかもしれない。
赤司があいつを見つけてこなければ。
あいつがいてもいなくても、何も変わらないし、変われるはずなんてないんだ。
---なかったんだ。
青峰は自分が先に黒子の手を離したことを理解していないんだと思う。
黒子が自分を捨てたと、そう思い込んでいるんだと思う。
もういらないと言ったのは自分なのに、いらないって、自分は言われたくなかったんだ。
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