「もっと言葉は慎重に使うものです。好きだなんて、軽々しく口にしないでください」
「…オレ、そんなつもりで口にしてないんで」
「…黄瀬君」
「オレのこと、信じて欲しいッス。…オレ、本気で、黒子っちが好きだよ」
「…やめてください」
「なんでそうなんスか。オレは本気だよ。黒子っちが、それから逃げようとしてるだけだよ」
「……なんでボクなんですか？」
「…強くて、優しいとこが、好きだから」
「…！！」

「冗談じゃないよ。認めて。断ってもいいから、とりあえず、オレが黒子っちのこと好きってことだけは、認めてよ」
「……信じられません」
「黒子っち！」
「……」
「じゃあ、どうしたら信じてくれるの」
「…え」

「どうしたらいい？どうしたら信じてくれる？」
「………」

「何でもするよ。女の子と話すなって言うなら、もう話さない。モデル辞めろっていうなら、辞めるよ」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「何をしてほしい？何だって叶えてあげたいんだ。黒子っちの願いなら」
「……」

「…そんなに困った顔されると、やっぱ、傷つくッスね」
「…いえ……。もっと、慎重に考えてくれませんか。だってボクは男ですよ？」
「知ってるって、それぐらい」

「尽くしてあげられませんよ」
「いいよ。オレが尽くすから」
「結婚とかできないじゃないですか」
「事実婚でいいよ。オレが早く死んだら全部遺産とか残すようにするし」
「子供だってできないです」
「その気になれば親に養子縁組してもらって、オレ達で育てればいいよ。外国に行ってもいい」

「……性の相手、満足にできないでしょう…」
「大丈夫。ちゃんと教えてあげるよ」
「！！！」
「ねえ怖がらないで？やろうと思えば、なんだってできるよ。オレには、その覚悟、できてるよ」
「……」
「…黒子っち」

「…わかりました」
「…ほんと？」

「キミの想いはわかりました。今まで、適当に接してきてすみませんでした」
「信じてくれたならいいッスよ」

「…ちょっと、考えさせてくれませんか」
「…いつまで？」
「………1週間ほど」
「わかった。待つよ」
「………」
「オレにだって、ちゃんと理性あるんスから。ちゃんと待つッスよ。…早くいい返事を返してくれるに、越したことはないけどね」
「……自信家ですね」

「断られても、オレ、諦めないんで。あ、でもストーカーとかはしないッスよ！」
「当たり前です」
「本気で好きになってもらえるよう、頑張るよ。それだけ」
「……」
「…今、ちょっといいかなとか思った？」
「……思ってません」
「そんな冷たい顔しないで…」

「わかってるならもう少し考えて発言してくださいね」
「いい返事がもらえる可能性だってないわけじゃないッスから」
「…ほんの数％程度でしょうね」
「じゃあ100回言ったら何回かはいい返事くれるんスね？」
「…0.001％位にしておきましょうか」
「じゃあ1万回、言うね」

「…懲りない人ですね」
「それだけ好きってことだよ」
「…馬鹿ですね」
「なんでもいいんス。黒子っちが、オレのこと好きになってくれるなら」


なんて手強い、相手。



勝てる気がしなかった。