ポッキーの分け前をねだられ箱を差し出せば、そちらではなく咥えた方に直接齧りつかれる。
黒子の唇に触れるか触れないかのところで、ポッキーは、紫原に奪われた。

「…！？」

「ちょーーーっとそこなにやってんスか！！！」
「え、貰っただけじゃん」
「何故口から奪うのだよ！」
「え、や、まじでちょっと欲しかっただけだし」
「だからといって口から奪うな！！」
「えー」
「えーじゃないッスよ！！！」
「あーもしかして間接キスとか考えてんの？やらしー」
「間接どころか直接ぎりぎりじゃないッスか！！」

「もうソイツはほっといとけよ…。言ってもしょうがねーって」
「なんでそんなに達観してんスか！」
「まあどうしようもないという点においては同意するのだよ」
「馬鹿にしてない？」
「してねーしてねー」

「…折角差し出したんですからそっちから取って下さいよ」
「あーうん。黒ちんが食べてるやつがおいしそーだったから」
「…同じですよ？」
「まーそうなんだけど」

「…なんか確信犯じゃないッスか！！」
「…あー…」

「黒子、そっちは危険だ。こっちへ来い」
「？はい」
「えっ緑間っちずるい！」

「ずるいものか。オマエだとて危険だ」
「オレまだ何もしてないじゃないッスか～」
「まだ、なぁ？」
「青峰っちは黙ってて！」

「…何が何だかさっぱりわかりませんが」
「…オマエはそのままでいればいいのだよ」
「…はぁ」

事情がいまいちの見込めない黒子を囲んで、とりとめもなく話は続く。

それは、何気なく繰り広げられる光景。