やさしくしたい。

どこにもやりたくない。

オレだけ見てて。

幸せにしたい。

他の誰にも、渡したくない。












でもそれってオレの自己満足に過ぎないんだよね。





オマエの愛って重いな、なんて、誰に言われることもなくわかってるんだけど。














「逃げていいよ」


逃げないで。


「黒子っち。嫌なら、逃げて。今のうちに」


嫌だ。

嫌だ。

いかないで。

どこにもいかないで。

離れたくない。

離したくなんてない。


「今なら、逃がしてあげる」


もっと深く繋がってしまったら。

自分でもどうなるかわからない。



今ならまだ。


別れられるかもしれない。




その後のことなんて何も考えられないけど。




お願いだから捨てないでなんて、今更三流ドラマにも出てこないようなセリフを飲み込む。




こんなに好きなのに。




逃げられてしまったらオレはいったいどうしたらいいんだろうか。






途方に暮れる。





















「…馬鹿ですね」


笑う気配がした。

仕方ないなぁと、息をつくように。


「ボクが何も考えないで傍に居たと思いますか」


優しい声音。


愛しい。愛してる。


「大丈夫ですよ」


頭に手が載せられる。

丁寧に撫でられた。


「覚悟してます、もう」


ごめんね。


巻き込んでごめんね。



逃がしてあげられなくてごめん。



好きなのに。


好きだから。




「…いいんスか」


「…はい」



身体を抱き寄せると、優しく抱きかえしてくれた。






そしてまた好きになる。






オレにはもう止められない。