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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
黒子が体調を崩して部室に戻ると、誰もいない筈のそこに、人影があった。
彼は、黒子に気が付くと、少し驚いた顔をして、笑った。
「黒子か。また、具合悪いのか」
「…はい」
彼は、一度は1軍入りもした選手だった。
熱心に練習に参加し、本気でバスケに取り組んでいた。
それを否定できるものは誰もいない。
けれど結局、黄瀬が加わった1軍の、過熱したレギュラー争いに敗れ、2軍に落ち。
そして、そこでも頑張り続けた結果、腰を壊した。
そのせいで最近は殆ど練習に参加していなかった。
ここで姿を見るのも、久しぶりだ。
「練習、出れるようになったんですか?」
黒子が問うと、彼は、表情を強張らせて、視線を泳がせた。
それだけで、黒子には、もうその意味がわかった気がした。
「…治りそうにないんですか」
「…ああ。ドクターストップって奴かな。…治っても、多分、元のようにはプレイできないってさ」
苦笑して。
絶望的な宣告を。
何の為にここまで努力してきたのか。
全てに意味がなくなって。
今までの、人生の価値を失う幻想にかられる。
「だから、退部することにしたんだ。で、誰もいない隙に荷物取りに来たんだけどな」
「……」
見つかってしまったと。
人数の多いバスケ部だから。
しかも、休みがちになっていた部員がいなくなったって、大抵の人は気付かないだろうから。
憐みの視線を、的外れな応援の言葉を、慰めの言葉を、避けるために。
「…寂しくなりますね」
あえて、怪我に関連した言葉を避けた。
彼は苦笑する。
そうでもないと知っているから。
キセキの世代がいる時点で、他の奴らなんて、陰に隠れるだけの存在でしかないのだ。
「お前も、身体には気をつけろよ。身体壊したら、元も子もないんだからさ」
荷物をまとめながら、何でもないように彼は言う。
追いかけるものを失った寂しさ。
愛するものをし続けられることへの妬み。
自分より劣っている存在が自分より上に立つ矛盾。
それら全て押し込めて。
「じゃあな」
「はい。…お疲れさまでした」
彼はそのまま、何も言わずに出て行った。
どんな気持ちで?
黒子は、思考する。
痛みと、苦しみ。
これからの不安。
空虚な心の内。
そして、恐らくは、安堵。
もう戦う必要がないという、免罪符を、彼は手に入れた。
届かないものと戦い続ける苦難を、もう、背負わなくてもよくなった。
けれど、彼は、バスケを愛していたから、それを甘んじて受けていたはずなのに。
立ち向かっていたはずなのに。
どんな道を選ぼうと、結末を選ぼうと。
そこには後悔と疑問が取り残される。
なんて不自由なんだと、思わざるを得なかった。
そして、いつかは。
ボクもまた。
同じ選択を迫られるのだろう。
ただ一人取り残された部室は不気味に静かで。
いつかは一人になるのだと、思わずにいることができなかった。
私は実は結構抵抗ある人なのですが(なら書くな)。
まああんまりキャラ濃くないですし一瞬なのでね!
木吉に絡めた話を書きたくてこの設定を作ったんですが、なんか書けそうにないのでこれだけで。
こういう時期って、ホントに怪我多いんですよね。
そして、こういった犠牲を踏みしめて頂点に立っているキセキ達。
本編の青峰の、勝者が敗者にかける言葉なんざねえよって台詞が、凄く重く響きます。
多分キセキの奴らが彼に何を言っても、それは、励ましにも慰めにもならないんですよね。
それはキセキにバスケの楽しみを一時奪われた、木吉とか日向も同じことだと思うんです。
だからって謝られても困る。
悪いのは力のない自分自身で、憎いのも、そうだから。
他の奴を憎んだって傷つけたって何も変わらないんだって。思います。
赤司と紫原は傷つけていいってスタンスなんでしょうけど、他は多分そうでないから、そっちもつらいんでしょうけどね。
気遣いが逆効果になるなら、何もしてあげられることはないのだから。
あーでもその辺黄瀬はあんまり考えてなさそうですけどね。
緑間は距離を取って、青峰は突き放す、かな。
緑間と青峰が、一番不器用なのかもです。
緑間にはまだ高尾がいてくれるから救いがあるのだけど…青峰…。
男と女だからなのか、それとも選手じゃないから、人に妬まれ疎まれる存在じゃないからなのか、桃井の思考がそこまで到達できないのが、どちらにとっても可哀相。
青峰が考えたくないことを桃井が正面から聞いて口に出させちゃって、それが、また青峰の絶望に続いていくような気もする。
上手くいかないものですね。
桃井さんは本当に全然悪くない。
彼女はよくやってる。
自分の事情全部捨てて青峰に付き合ってる。
それは当然青峰にとってもプラスに働いてる。
青峰がまだぎりぎりのところで引っかかってるというか、傍若無人になりきれなくて、何もかも捨てられない状態にとどまっていられるのは彼女のおかげ。
あんまりよくないたとえだけど、桃井は子供を学校に行かせようとするお母さんみたいな。
学校にはいじめとかはないんだけど、どこかずれがあって、青峰はうまくやっていけない。
で、もうそれを諦めてる。
でもお母さんは当人じゃないから、なんとかしてうまくいく方法があるんじゃないか模索してる。
以前みたいに楽しく学校に行ってほしいと画策してる。
それで、青峰がもう何度も考えて捨ててしまった選択肢をあえて持ち出してきて、それがまた青峰を傷つけてしまうみたいな。
たとえが悪かったですけど、母親だと距離も近いし血縁があるから、絶対離れていかない保証があるじゃないですか。
でも桃井にはそれがない。
切り離そうと思えばいつでも切り離せる関係の中でそういう関係を維持しなくちゃいけないのは、きつい。
それに、桃井にはそこまでしなくちゃいけない責任みたいなのも全然ないんだから、投げ出しても許されると思うんですよね。
でも彼女は投げ出さない。
もう投げ出せないところまで来てしまったからなんだろうけど、それが、凄く痛々しい。
彼女も一生懸命なんですよね。
本当にそれはよくわかる。
青峰が人生投げないように青峰の人生を代りに一緒に背負ってるようなものだから。
人の人生を背負うのって、楽じゃないから。
彼女にも夢があって願望があって、嫌われたくなくて、でもやることはちゃんとやらなくちゃいけなくて、さみしくて、弱いから、全部青峰の思い通りにさせてあげられるわけじゃなくて(させちゃいけないし)。
自分の事情を一番殺してるのは桃井なんじゃないかなぁ。
帝光時代は黒子も相当だけど。
だから何かしら二人には通じるものがあって、それで、黒子は桃井に対して引け目があるんじゃないかと個人的に思っています。
桃井にはもうどうするすべもなくて。
黒子が、最後の希望なのかななんて。
黒子が青峰を変えてくれることを願うしかないんじゃないかと思います。
なんか大変な話になってしまった…。
とにかく、誰も悪くないということが言いたくて。
みんな一生懸命で、限界まで頑張ってて、それなのに袋小路に辿りついてしまうのが、すごく痛いと思ったのでした。終わり。