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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
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日が落ちて薄闇に包まれた校内には、人気がすっかりない。
その中を、整理運動がてら、高尾が歩いていく。


季節が秋に近づいて、夜の訪れが早くなった。
それに比例して、通常の部活は活動時間を短縮している。
まだやり続けているのはバスケ部ぐらいなものだった。
尤も、バスケ部も一応の練習は終わって、今は自主練の段階だ。

先生も生徒もいない学校は、どこか薄気味悪く、けれど、好奇心を誘う。

そこで、あるはずのないものを見つけてしまって、高尾は立ち止まった。

意識せざるを得ない、すっかり強敵として認識された水色の頭。
ここのものではない、変わった意匠の学ラン。

「…こんにちは」
「…なんでいんの?」

当然のように平静な態度には今更触れる気にならない。

「緑間君に用事がありまして」
「そっちの部活は?」
「今日は休みだったんです」
「へー…」

詳しく聞く必要は別になかった。
学校ごとに会議やら講演会やら工事点検テストだなんだと、色々あるものだったし。
別に黒子が体調悪いから帰されたのであっても、関係はなかったから。

尤も、当の黒子はそれほど体調が悪いようにも見えなかったが。

「ってか、不法侵入じゃん」
「誰もいなかったので止むをえませんでした」
「外で待ってりゃよかったのに」
「待ちくたびれました」
「あー、まぁね」

ここまで待っていたのなら相当だ。

「緑間に連絡してたの?」
「してないです」
「…そりゃー用意が悪いんじゃない?」
「突然思い立ったので」

ダメだこりゃ。
こっちの常識は通用しそうにない。

「まいっか。来いよ。体育館まで連れてってやる」
「いいんですか?」
「下手にウロウロされてすれ違ってもあれでしょ。見つけちゃったし」
「どうも」
「じゃーこっちね」

先導して、さっさと歩き出す。
どうせあいつはまだシュートを打ち続けてるだろう。
一切の手抜きも許さない、かゆくなりそうな生真面目さで。

「で?用事ってなんなの」
「…本を、返しに来たんです」
「本~?」

っていうか、あいつが貸したのか。
あんまり、そういうことはしそうにないけどな。

まあ、同中の奴らは、トクベツってやつなんだろうけど。

「はい。ずっと、返すのを忘れてたんです」

随分と遠い目をして語るから。
追及はしないままそのまま歩いた。

体育館の前で先輩たちとすれ違って、それに完璧に黒子が気付かれないのに驚きを通り越してあきれて。

中に入ると、高いループのシュートが放たれた瞬間だった。
もう、外れることを微塵も疑わない。

ゴールにボールが吸い込まれるのを見届けて、真ちゃんがこっちを向いた。
手をあげて、応える。

「お疲れ~。なんか黒子ちゃん来てたよ」
「!?」

訳が分からないという顔をした。
当然だよなぁ。
どっちも変な奴だけど、黒子は、ホントに予測もつかないようなことしでかすんだから。

「お久しぶりです」
「…何の用だ」

戸惑って凄く嫌そうな顔をしている真ちゃんに、黒子が、鞄の中から何か取り出した。
本だ。
オレはもう知ってたし、そのままだからすぐわかる。

「ずっと返しそびれてました」
「…今更、持ってくる意味が分からんが」
「あの時は、色んなことで手が一杯だったんです。気が付いたら、本棚のこやしになってました」

黒子は本に目を落として喋る。

中学の時から、ずっと貸しっぱなしだったってことか。
相当だ。
忘れても仕方ないし、もう時効なような気もする。
大体文庫本なんてそんなたいそうな値段はしない。

「…オレも、オマエに貸したことなど忘れていたのだよ」
「そうですよね。じゃなきゃ、怒られてたでしょう」
「なら、何故返しに来た」

不機嫌な態度を、さらけ出して、酷く威圧的に。
一見、苛めてるみたいにも見えるのに、黒子は決して負けてはいない。

「……前に、進みたくて」
「…?」
「…あの時のことを考えるのを、ボクは、ずっと避けてました。でも、それだとただ逃げてるだけだと思ったので。
それで、そうしたら、本を借りていたことに、気が付いたんです」

全中後に姿を消したって、あれか。
本当に、生真面目な奴ら。
なんで、適当に生きるってことができないんだろう。

「…過去と、決別する覚悟ができたということか」

声は、硬い。

だって、斬り捨てられる側なんだもんな。
ちょっと可哀想になって、酷いもんだなぁと思う。

なんだかんだで、いつも気にしてるのに。
当の本人は何にも気づいていないのか。

「…決別、ではないです」
「では、なんだ」

「ここから、新しく始めるんです。もう一度、やり直したい。一方的な別れではなく、改めて、わかりあっていくために」

言葉は、あまりにもまっすぐで。
プロポーズか何かみたいだと言ったら、言い過ぎだろうか。

真ちゃんは暫く黒子を見ていたけど、突然壁に向かって歩き出した。
隅に置いてあったタオルで汗を拭いて、何か持って、黒子のところに戻ってく。

ああ、あれは、今日のラッキーアイテムか。
おは朝のやつにしてはまともなやつ。
だって、信楽焼とか持ち歩くモンじゃねーし。

黒子の本を奪って、それを押し付けた。

黒子が返しに来たやつとよく似た、文庫本。

「…何ですか」
「貸してやるのだよ」
「…。緑間君って、結構、情緒がありますよね」
「余計なことを言うな」

新しい関係を始めるってことか。

貸しっぱなしの本が返されることで古い関係が破棄されるなら。
新しい本を貸すことは、そういうことになるだろう。

真ちゃんはそういう時いつもするみたいに眼を逸らしてて。
黒子は、少し嬉しそうにしてる。

なんだこいつら。
見てて恥ずかしくなってくる。

「おーい真ちゃん、もう片付けしよーぜ!もう練習する気もそがれたろ!」

声をかけて、近くに転がってきてたボールを拾いにかかる。


真ちゃんがちょっと鬱陶しそうな顔をしたのが、笑いを誘った。



新しい関係を作るなら、オレの入る隙間も、ちょっとは作ってくれないとな。




 

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コメント
 
高緑黒
緑黒は、黒子の方が一歩寄り添ってあげるからこそ成り立つ関係のような気がします。
ツンデレがそういうものなんでしょうけど。
言葉通りに受け取ってたら、自分のこと嫌いなんだろうとしか思わないでしょうしねー。

高尾の説明が少しくどいかなぁ。
なんとなく高尾視点にしちゃったので。
緑間と高尾はツーカーって感じなので、現在の時制で話を書こうとすると外せないんですよね。
もう3人で仲良くしてたらいいよ!って思いますけど(笑)
皆可愛い。

拍手が一気にされてたのが印象的でした!
いつもありがとうございます^^
【2011/05/30 00:30】 NAME [静] WEBLINK [] EDIT []
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