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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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初めからそこにいるような気はそれとなくしていたのだ。
彼はよくその場所にいる。
ただ、いつもいる棟とは逆であるのと、それに、そんなわかりやすい場所にいるだろうかという疑問もあって、あえてそこには向かわなかっただけだった。

最後になったのは、皮肉な結果だ。


扉を開けて、向こう側の棟からは見えない方向に眼をやる。
青峰の楽しそうな顔が、目についた。

「よ。似合うじゃん」
「…散々人を振り回しておいてそれですか」
「だっておせーじゃんよ。待ちくたびれたし」
「…それで、間食してたんですか?」

青峰のわきには開けられたビスケットの袋があって。
彼はばりばりとそれを貪っている。
こちらは大変な思いで探していたというのに、いい気なものだ。

「息切れてるぞ。こっち来て、座れよ」

確かに疲れているのは事実で、黒子は、大人しく青峰の横に行き、座り込む。

「飲めよ」

スポーツ飲料を渡されて、黒子は、一気にそれを飲み干した。
無駄な神経を使わされて、疲弊していた身体が、潤されていく。

「しかし似合うな」

髪を一筋掴まれて、そんなことを言われる。

「やめてください」

黒子は不機嫌そうにそれを振り払う。
今は、そんなじゃれ合いをする気分ではない。

「胸があったらもう完璧じゃね?」
「…いい加減にしてくださいよ」

もし渡された女装セットの中にそんな小道具があったらキレてぶん殴りたくなっただろう。
それを思うとまだマシないたずらだったのかと思えてきて、黒子は、眉を寄せた。
許してどうする。

「はは、わりーわりー、オマエ真面目だからさ、ついからかいたくなるんだよな」
「…同じこと、緑間君にも言ってたことがありましたね」
「そうなんだよな。なんか面白いっつーか」

黒子は少し俯いた。
彼がこんなに楽しそうにしているのは久しぶりだ。

それを見られただけでも。
こんな恰好をしてよかったのかもしれないなんて。
思いたくはなかったけど。

「…さあ、着替えとっとと返してください。部活行かないと」
「っちぇ、つまんねーの」
「早く」

急かすと、青峰は、黒子をちらりと見て笑った。

「ほら」

渡された服に、黒子が安堵したところに、青峰の腕が伸びる。
空いたままだった口に指がねじ込まれ、そのまま強引に引かれた。
ビスケットを加えた口がそこに近づいて。

半ば強制的に受け取らされる。

「…!!!」

黒子が抗うと、青峰はあっさりそこからどいた。
笑って、それ、迷惑料なと言った。
そして、じゃーなと立ち去ってしまう。

黒子はとっさに反応できないまま、それを見送って。

唇を抑えて、呟いた。

「…ボクばっかり損してる気がするんですけど……」

それでも呆けてる暇はなくて。
放置している黄瀬君に会うためにも、早く屋上を後にしなくてはならなかった。
全くせわしない。

どこで着替えようとか、そんなことを考えながら、黒子は、そこを後にしたのだった。





 

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