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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
校舎の半分は探したが、青峰の気配はどこにもなかった。
ここまで見つからないと、半ば嫌になってくる。
「緑間っちがうまく見つけてくれないかなー」
「そうですね…」
「この勢いで知り合いにどんどん会っちゃったらどうしよっか」
「…やめてくださいよ…」
出来れば見られたくないと、黒子は眉を寄せた。
なんて情けない恰好。
黄瀬にだって本当は見られたくなどなかったのだ。
笑われるのも同情されるのも女の子のようだと思われるのも嫌だ。
黄瀬に迂闊に声をかけるべきではなかっただろうか。
一緒にいるからこそ、レギュラーのメンバーに次々と見つかってしまうのかもしれない。
「あ!きーちゃん!」
横からかかってきた声を黒子は心底聞きたくなかった。
「あ、桃っち、…!?」
どん、と後ろから体当たりするような勢いで、黄瀬の背中に黒子は顔を埋めた。
黄瀬がそれに対応する前に、桃井が、そこへやってくる。
「その子、新しい彼女?もー、バスケに専念するとか言ってたの誰?」
「…えっと…」
黄瀬が言葉を濁すと、服を掴む勢いが強まった。
言うなというのだ。
それは黄瀬にも伝わった。
「…なんか修羅場だったかな。ごめんね、あのね、テツ君見なかったか聞きたくて」
「く、黒子っちッスか?」
「うん、そう。部室にいるかと思ったんだけど、いなくて」
黒子は心底部室にとどまらなくてよかったと思った。
下着姿で応対することを想像すると頭が痛くなる。
青峰なんかは別に裸でも全く平気そうに接するが、黒子はそこまで恥を捨てられはしないし、身体に自身だって持っていない。
青峰の筋肉は美しい。
見せびらかされてもいっそいやらしさを感じないほど。
「…図書室にでも行ってるんじゃないッスか?」
「さっき行ったんだけどいなくて…。私これから帰らなくちゃいけないの。これ、テツ君に渡しといてくれない?」
「…チロルチョコ?」
「うん。今日ハロウィンだから、折角だしと思って。きーちゃんにもあるよ、ハイ」
「…どうもッス」
「テツ君によろしく言っといてね?それじゃ、邪魔してゴメン!」
ばいばい、と手を振って、桃井は走り去っていく。
結構ぎりぎりまで、黒子を探していたのだろう。
青峰っちは罪深いなぁと思いながら、黄瀬は手を振りかえして。
彼女がいなくなるまで、見送った。
「…行きました?」
「うん。もう大丈夫ッスよ」
黄瀬が返事すると、黒子の固く握りしめた手が緩められて、身体が離れていく。
黄瀬は少し涼しくなった背を感じながら、振り向いた。
「凄く嫌そうだったッスね。そんなに、桃っちに見られたくないんスか?」
「当たり前です」
男としてのプライドがそんなの許さないとばかりに、黒子は言い切る。
その姿が逆に可愛くて、黄瀬は笑ってしまった。
黒子の睨む目に、止めたいけど、どうしようもできない。
「あ、これ、桃っちから」
黄瀬は、手に持っていた、箱入りのチロルチョコを差し出す。
「…どうも」
「桃っちの愛ってわかりやすいよね。見てよ」
黄瀬がもう一方の手で掲げたのは、普通サイズのチロルチョコ1コ。
大きさでも、量でも、確実に黒子への比重が重いことがわかる。
黄瀬はそんなわかりやすさを、いっそ男らしいなと思った。
「…なんか申し訳ないですね」
「でも、確かにその姿で会ったら桃っち吃驚したと思うよ」
「そりゃそうでしょう…」
「とりあえず、青峰っち探そ。お礼は、明日言いなよ」
黄瀬は笑って、黒子を促した。
黒子は頷いて、一歩踏み出す。
とにかく青峰を捕まえることが先決だった。
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