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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
試合が、終わった。
黒子は、ぼろぼろになって疲れきるまで、身体を酷使して、ぐったりとベンチに落ちている。
肉体疲労と、試合中に見えないせいでぶつかられ、できた打撲と、擦り傷。
身体が重くて、暫くはろくに動けそうにない。
この弱い身体が、黒子はとても嫌いだった。
「今日はお前のお手柄だ」
けれど、そう赤司が言ってくれた言葉に、黒子は救われた気持ちになって、少し笑んだ。
しかしただそれは痛々しさを強調させるだけで。
「ごめんね、オレらが弱いばっかりに、こんな無理させて」
黄瀬は申し訳なさそうに、黒子の傍にしゃがむ。
「いえ。キミたちは十分、強いですよ」
「そーだぞ。オメーなんてこと言ってやがる」
「あいたっ!ヒドイッス!」
青峰が思いきり黄瀬をどついた。
弱いだなんて、誰も口に裂けても言えないだろう。
相手が強くて、そしてうまく、こちらを研究してきていた、それだけのこと。
黒子を使わなければ危なかったとはいえ、いなかったとしても、当然五分の試合はできたはずだった。
「黒子の体が弱すぎるだけだ」
帝光中の、普通の選手なら当然耐えられるだけの運動量。
「スミマセンね」
「まーちょっとひ弱すぎだよね」
「もうちょい体力点けろよな」
「はい…。頑張ります」
黒子は、生真面目に頷いた。
それは自他ともに認める事実。
彼らのように技術の向上が望めないなら、黒子はせめて耐久力と持久力を磨かねばならない。
「もー!黒子っちのおかげで無事勝てたっていうのに皆酷すぎっしょ!?」
「感謝はしているさ。だが、それがチームというものだ」
「そうですよ。もっと、ボク自身が、成長しないといけないんです」
「わかっているならそうしろ」
ぴしゃりと言われて、黒子はともかく、黄瀬までもが、神妙な顔になった。
「まあ、それは、明日からの課題だな。今日は、素直にお前の努力で勝利を勝ち取ったことを誇ればいいさ」
「…はい」
赤司は優しい声音で告げてきた。
彼がこんなにも優しいのは珍しくて、黒子はそっと、頷く。
「キャプテン!!一人でいいとこ持って行かないでよー!!」
「お前の目の付け所が悪いんだよ」
「ホント上手いとこだけさらってったな」
「ずるい!」
「オマエが言っても黒子は納得しないと思うがな」
「だって格下だもんね」
「皆ヒドイッス!!」
途中入部なだけあって、黄瀬の立場は弱い。
そもそも黒子は黄瀬の教育係だったわけで、そんな黄瀬にそうやって慰められたとて納得できないのは、当たり前の事実だった。
「テツ、立てるか?そろそろ着替えとけ」
「…はい」
少しふらつきながらも、ちゃんと一人で立って、汗にまみれたユニフォームを脱ぐ。
その体をタオルで拭って、黒子はTシャツに袖を通した。
その姿を何となく見つめてしまった黄瀬に、上から、拳が落ちる。
がつ。
「いったっ!!」
「ちょっと見すぎじゃない?変態」
「変態って!?」
「黄瀬、オマエ…」
「いやそんな眼で見てないッスよ!?ただ心配してただけで!!」
「ふむ。真剣に部内恋愛は禁止にした方がいいかな」
「オマエも何言ってんだ…」
「何の話ですか?」
その話を引き出した本人は、何も気づかず、あっけらかんとした顔をしている。
「……」
「なんでもないよ。じゃあ、行こうか」
「あ、はい」
「黒子っち、荷物持とうか?」
「いえ、大丈夫です」
「倒れんなよ?」
「大丈夫です」
「全く、甘やかすな」
「倒れたらオマエだって世話焼かざるを得ねーだろ」
「……」
「流石にほっといて帰ったら人間性を疑うね」
「でも自業自得だけどねー。ダメならダメって早く言えばいいのに」
「…今は、大丈夫ですから」
「ふーん?」
「とにかく行くぞ。帰りが遅くなる」
「はいはい」
ぐだぐだと、喋くりながら、外へ出た。
その後はいつもと同じく帰ってミーティング。
気が重いが、やることはちゃんとやらなければならない。
とりあえず黒子がはぐれてぶっ倒れることの無いように適度に気を配って。
一行は、歩を進めた。
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