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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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(タイトル通り下の続き)


家に帰ると、黒子が寝ていた。

あの頃から、殆ど変わらないその姿。
今ここだけが、かつてに帰ったようで、そんな考えがおかしくて、一人笑った。
 



頬に触れると、少し身じろいで、眼を開けた。

かつてはその眼が何を考えているのかわからず、大嫌いだった。

けれど、今ではそれが自分だけを写すことに、喜びを感じている。
そう思うことは、正しいことではないのかもしれないが。
こうなってしまえば、今更何がどう変わろうと、大した変化ではないと思えてしまう。

「…お帰りなさい」
「ああ」

しかし、黒子の頑なな態度は、あの頃にも増している。
それは、ここに来た時から変わらない。

昔から感情を表に出すことは殆どなかったが、今ではそれすら表情豊かだったと言えるぐらいだ。

笑わない。
怒らない。
何も怖がらず、何も望まない。

冷淡な態度で、どこか寂しげに、遠くを見つめている。

まるで、人形のようだ。

こっちを見ているようで、何も見てはいないのではないか。
時折、そんなことを、思う。

「体調が悪いのか」
「…いえ」
「昼は食べたのか」
「…食べてません」
「…わかった。これから夕食を作る。お前は休んでいて構わん」
「いえ…手伝います」

食べろと、言い聞かすのはもう諦めた。
そうでもしなくては、食べないなら出て行けと口走りそうだった。
ここから出ていくことが死を意味しているにも関わらず。

そんなこと忘れそうになるほど平然とそこにいるのに。
余りにも影が薄いから余計にそう感じるのかもしれない。
食が細くなって運動もろくにしなくなった身体はかつてより更に細く、白く、儚い。

幸いと言っていいのかわからないが、黒子は殆ど外出をしない。
そのためエネルギーの摂取も最小限で構わないだろう。
自分がいるときに見張ってさえいれば、一応は食べるのだから。

毎食用意してやればきちんと食べるのかもしれなかったが、こちらもいろいろ忙しく、そこまで手が回らないことも多かった。


材料を洗ったり、炒めたり。
簡単な作業を任せて、てきぱきと料理を作る。
最初は1人でやった方がマシなぐらいにどう使っていいのかわからなかったが、今では、活用法もよくわかって、手早く仕上げることができるようになった。

「いただきます」

2人の食卓。
殆ど喋ることもないが、気にしない。
もういつものことだ。
料理の味を言い合うことも、褒めることも、もう、随分前に済ませた。

「…オマエ、量が少なくないか」

食事を盛り付けたのは黒子だった。

「……そんなことないです」
「嘘を言うな」
「もとより体格が違うんですから、量が違うのは当たり前でしょう?」
「…もう少し食べろ」
「そんなに食べても消費しませんから」
「なら散歩なりなんなりしろ」
「はぁ…」

やる気のなさげな声に腹が立つ。
しかし叱りつける前に、携帯が鳴った。
マナーモードにしておけばよかったと思いながら、歩いて鞄の所まで向かい、電話に出る。
着信相手は、高尾。

「もしもし」
『あ、真ちゃん?今家?』
「…そうだが」
『あれ、素直に家帰ったの?どっか行くのかと思った』
「それならそうと言うに決まっているだろう」
『いやー、だってオレが一緒に行くとか言い出したら困るから無理とか言ったのかと思ってさ』

今日、実は、高尾に、飲みに誘われた。
悪くない誘いだったが、断った。
恋人でもできたのかと問われ、そうではないと返した。

それでも、家を空けたくなかった。
少しでも離れていれば、いなくなってしまいそうで。

高尾にも言う気にはなれなかったのだが。
何か事情があったことは悟られたらしい。

「別に、何もないさ。少し疲れているだけだ」
『ふーん?珍しいね、自己管理できてないの』
「そうだな」
『…やっぱ、何かあるんでしょ?』
「…何もないと言っている」

『あのさー、真ちゃん。意地張ってばかりじゃダメよ?』
「何だ、藪から棒に」
『たまには素直にならないと大事なモン逃しちゃうよ』
「……何のことだ」
『別になんでもいーけどね?』
「…話はそれで終わりか」
『うん。まーそれだけ』
「じゃあな」

『うん。まー上手いとこやれよ?』
「何の話なのだよ」
『で、いつかオレにもちゃんと詳細を教えてね』
「…だから、何も隠してなどいない」
『じゃーまた飲みに行こーね。ばいばいー』

電話が切れた。
相変わらず騒がしい奴だ。

「高尾君、ですか」
「…そうだが」
「疲れてたんですか」
「いや、そうでもないが?」
「疲れてるって、言ったじゃないですか」

「……まあ、たいしたことはない」
「ボクの世話なんて焼いてないで、早く、休んでください。後片付けはボクがしますから」
「いや、平気だ」
「……住ませてもらってるんだから、最低限のことはしますよ」
「別に、オマエが気を使うことはない」
「…そうなんですけど…」

歯切れが悪い黒子をほっといてさっさと片付けをした。
疲れているのは方便だ。
それを言っていないから仕方ないのかもしれないが。

戸惑ったまま座っている黒子の頭を、つい撫でてしまった。
こんなに手をやりやすい位置にあるのが悪い。
黒子は少し驚いた様子を見せたもののそのままじっとしていた。

まるで猫のようだ。


このままいついてしまえばいいものを。
厚かましく、何も言わなくたって。

他の誰かなら入れたくない領域に入られても嫌じゃなかった。


それを、どうして感じ取ってはくれないのだろうか。











緑間君の動きを、見ながら、考えた。


ボクは、どうしたいんでしょう。
いらないって言われれば出て行けるのに。

どうして、この人の役に立ちたいなんて思っているんだろう。


こんな事態想像もしていなかったはずなのに。






 

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