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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「見て見てー!デジカメ買ったんス!!」
黄瀬が嬉しそうに取り出したのは、メタリックでシンプルなデジタルカメラ。
大柄な黄瀬の手の中にあるそれは、随分と小さく見える。
「マジか。ちょっと寄こせ」
「あっちょっと大切にしてよ!?」
青峰はそれを毟り取って、翳した。
「随分薄いな」
「へへっ最新型ッス!」
そしてかちゃかちゃと許可も取らずに弄り回す。
黄瀬は無理に取り返そうとはせず、それを誇らしげに眺めた。
その姿がまた自慢げで腹立たしいのだが。
「へームービーもバッチリ撮れんのか」
「最近の奴は大抵そうッスよね」
「ってか撮る用事とかあんの?携帯でよくない」
「でも絶対こっちの方が画質いいし!現像だってできるじゃないスか!」
「折角だし記念に今撮ろーぜ。黄瀬撮れ」
青峰はそう言って、カメラを黄瀬に押し付ける。
「買ってきたのオレなのに!?…まあ、いいッスけど」
「オラ皆来いよ」
「さっさと着替えたいんですけど…」
「いーだろ別に。一瞬だよ」
「はぁ」
「全く、ふざけ過ぎなのだよ」
「ホラ映れって」
青峰は乱暴に、キセキの世代たちをそこにかき集めた。
赤司こそいないが、それはまあ仕方がない。
別に取ろうと思えばいつでもとれるのだし、全員集合にこだわる理由もなかった。
強引に引き寄せて、青峰は笑う。
「ちょっと…近すぎて黒子っちが生首みたいになってんスけど」
「そっかオマエだけ低いもんな」
「馬鹿にしないでくださいよ」
黒子は嫌そうに青峰を見上げた。
「抱っこしたげよっか?」
「いいです。椅子持ってきますから」
紫原の嫌がらせのような提案も無碍なく断る。
「んなめんどいことすんなよ。よっと」
「わっ!!」
だがそれも聞こえていなかったようで、青峰は軽々と黒子を抱き上げてしまった。
「青峰っち大胆ッスね~」
「ちょっと!!」
黒子は暴れるが、ひょっと抱えなおされて、それで対応は終わりだ。
本気で暴れて落とされても困るし、そもそも青峰との筋力差は明らか過ぎる。
「ホラ、笑えよ」
近くでそう言われて、黒子はぱっと顔をそむけた。
青峰は楽しそうに笑って、言う。
「黄瀬、いーぜ」
黒子が仏頂面なのはいつものことだ。
たとえ笑顔でもどうせ影が薄いのだから気にならない。
まあ笑顔ならそれに越したことはないが、そこまで強制するようなイベントでもなんでもないのだから。
「はーい、じゃ、いくッスよ!はい、チーズ」
カシャ。
小気味よいシャッター音がして、フラッシュの閃光がたかれる。
青峰はそのまま黄瀬に歩み寄って、黒子を下しカメラを奪い取る。
「おっしゃ見せろよ」
「わーだから手荒に扱わないで!!」
「落としたら大事だな」
「あ?どこ押すんだ?」
「滅茶苦茶にしないでー!えっと…ここで、こう」
黄瀬は慌てて、慣れないボタンを操作し、写真の画面を呼び起こす。
「おーよく撮れてんな」
「ちょっと峰ちん出過ぎ。オレ隠れそーじゃん」
「隠れねーだろテメーでかいんだから」
「部室は暗いのに悪くないな。性能がやはりいいのか」
緑間はのんきにそんな感想を告げた。
「ちょっと、出してください」
巨大な男たちに前も後ろも囲まれて、黒子は迷惑そうに声を上げる。
そんな黒子に不思議がるように青峰は画面を近づけた。
「しかしテツオマエなんで真ん中なのに薄いんだよ!おかしいだろ!」
「…そんなこと言われても」
「あ、黒ちん傷ついてる~」
「やめてください」
「あー、怒った?ごめーん」
「何だよ、抱っこしたのが悪かったか?」
「別に怒ってませんって」
そう言いながら黒子は腕の中から逃れて、ロッカーへと向かった。
黒子は早く着替えたいだけだったのに、とんだ迷惑だ。
「青峰っちデリカシーないッスよ?」
「…コレ返してやんねーぞ」
「あっウソ!!今のウソだから!!」
黄瀬が慌てて取り繕ったが、青峰は聞く様子もなく辺りを見る。
「何か他に撮るモンねーのかよ?」
「部室に大したものがあるわけないだろう」
「後で外で撮るか」
「そんなことしてたら赤司君に怒られますよ」
黒子はそっけなくそう告げる。
もう部活の始まる時間だ。
早く行かなければペナルティが課されてしまう。
「ってか返してー!」
「るせーな黙ってろよ」
「というか早く着替えて部活に行くのだよ。カメラなんぞにうつつを抜かすな」
「そうですね」
「わー黒子っちいつの間にか着替えてる!!」
「めんどくなってきた…」
「部活はちゃんと出ましょうね」
黒子はそう紫原をなだめ。
「しゃーねーな、じゃ、一先ず返してやるよ」
青峰はため息をつきながらカメラを黄瀬に渡してやった。
「どーも…」
「そんな高級品を学校にまず持ってくるな」
「だってちょっと見てもらいたくなるじゃないッスかー」
「自分撮って遊べば?」
「オレどんだけナルシストなんスか!?」
「まあモデルとかそういう職業だとは思いますけど」
「黒子っちヒド!」
「さあ行くぞ」
「はい」
「あーちょっと待ってー!!」
真面目な2人は、とっとと着替えて、部室を出て行こうとする。
追い待てよと青峰が黒子を引っ張って、黒子は嫌そうに青峰を見上げた。
つられて、緑間も立ち止まる。
「男なら1眼レフとか使ってみてーよな」
「気持ちは、わからないでもないですけど」
「あーゆーのわけわからなくて壊しそう」
「…オマエは絶対に触るなよ」
そんな会話をしながら、着替えを終えて。
少し焦りながら体育館へと急ぐ。
結局のんびりしていたことがばれて、ランニング追加を言い渡されてしまうのけど。