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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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試合で、腰を壊した選手が出た。
前々から悪かったのを、ずっと隠していたらしい。
相当ボロボロになっていて、今は、入院していて、手術を控えている。


恐らくもうバスケ部に復帰はできない。
何回か手術しないと日常生活も危ういという噂もあった。

病院には行っていたと言うのは、嘘だったらしい。
そこまで悪化しているのにやり続けた。
それでこんな事態になったのなら、きっと、自業自得なのだけれど。


そこで、マネージャーたちが千羽鶴を折ろうと言い出した。
最低1人5羽のノルマ。
ミーティングが終わった後、皆でちまちまと、鶴を折る。

「んなもん贈られても嬉しくねぇだろ」

隙を見て抜け出そうとした青峰君が、見つかって言い放ったのがこのセリフだ。
どうしてそんなに素直に物を言ってしまうんだろう。

「なんでそういうこと言うの!?」
「バスケができねーこと思い知らされるだけだろーが」

周囲が、黙り込む。
一気に空気が冷えた。


ああ、彼は。
なんて人を絶望させるのが上手いのだろう。

気付いてしまう。

無意味さに。


「贈った方の自己満足だろ、そんなん」

マネージャーの子たちの善意が可哀想で、助け舟を出した。

「でも、願いは意味があると思いますよ」

ボクだってこんなもの貰っても嬉しくはなかったけど。

「たとえ戻ってこれなくても、戻ってきてほしいと、せめて元気になってほしいと思われいたって、伝わりますよ」

むしろ、悲しくなるだけ。
こんなことをされるほどまでに、距離が開いてしまったのだと。


もう戻ることはできないのだと。


「でも意味なんかねーよ」


わかっている。


バスケができないなら意味はないのだ。

どんなに心配されても、愛されても、思われていても。


そこにいられないならもう意味なんてない。


バスケができないなら意味はない。


「ある程度は形式的なものだ。放っておかれたと思わせるのも酷だろう。さっさと作れ」

緑間君の助けが、本当にありがたかった。

「……はぁー」
「そんなため息つかないでよ!」
「まあたまにはこういうのも悪くないッスよ」

黄瀬君は、3羽目の鶴を机の上に並べて、笑った。
あまり楽しそうに作るのも不謹慎だが、それも致し方ない。

「きーちゃん作るの上手くなったよねー」
「もうすっかり作り方覚えたッス」
「鶴とか簡単だろ…」

「でもこれ、よくなったらどうすりゃいいんスかね?」
「…記念に取っておくか、神社にでも奉納すべきだろう」
「すっごい処理に困りそうッスね」
「だから重いんだっつーのこーゆーのは」

鶴を摘まみながら、青峰君は零す。
たしかに下手に思いがこもっている分、処理しづらいものがある。
いつまでも飾っておくのも辛気臭い。

「まあないよしはマシってことだな。作ってもらえるほど思われてるなら、少しは希望があるだろう」

赤司君が呟いた。
彼の前には綺麗に折られた鶴がもう5つ並んでいる。

「人生の敗者にも、生きていく価値がなくては可哀相だろう」
「…赤司君」

あんまりな言い草に、寒気を覚えた。

「そんな無様に生き残るぐらいなら、いっそ死んだ方がマシかもしれないが」
「言いすぎだ。他人の人生の価値をお前が決めるな」
「やさしいな、真太郎」
「…赤司」
「キミ達が歪んでるんです」
「酷いな」
「オレもかよ」
「……」

難しいことは考えない方がいいのだ。
慣習で、するべきものだからとわりきれば、いちいち、複雑になることもない。

「ホント、皆バスケに命かけてるッスよね」

黄瀬君が、少し呆れたように呟いた。

本当に。
もっと、楽に生きられたらよかったのだけど。

「別に?無様に負けることを良しとしないだけだ」
「そりゃオマエは違うだろーし」
「キミは、バスケをなくしても生きて行けそうですからね」
「…オレだけ仲間外れなんスか!?」
「オマエは何事も適当だからな」
「オレ結構真面目にやってるッスよ!?」

確かに真面目だ。
日々、地道に練習を積み重ねている。

でも黄瀬君には仕事があるし、ルックスも、人脈もある。
他のスポーツだってきっとすぐに上達するだろうし、成績も、やる気を出せばすぐに上がるだろう。

バスケに拘らなくたって、生きていけるはずだ。

「それで生きられんならそれでいーだろ」
「…青峰っち?」
「オレみてーになったらヒサンだぜ」
「……」

相手がいない。
彼に勝てるだけのチームがいない。

バスケが好きなのにバスケを楽しめない、今。

「…でも、オレもひょっとしたらもう手遅れなのかも」

黄瀬君は、笑う。

一度楽しみを知ってしまったから。
今はそれがなくなってしまったけど。

諦めることはできないだろうか?

もう、囚われてしまっただろうか。

「ああ、そうかもしれないな」
「…本気ならそうなるのも仕方ないだろう」
「そういうもんなんスかねー…」

寂しい。

持てるものの、天才たる者たちの会話であるはずなのに、どうして、こうも、救いがない話になるのか。

「本当の天才は、バスケに選ばれるんだよ」
「?」
「逃げられないんだ。バスケをすることから。イヤになってもね」
「……」

赤司君はきれいに笑う。
人形のように整った顔は、恐怖すら感じるほどに笑いの形が似合った。

「嫌になったらやめるだろ」
「やめられないんだよ。上達したが故にそれに縛られてしまうんだ」
「…わけわかんねー」
「…やっぱり、好きじゃないと続けられないものじゃないんですか?」
「オマエは選手じゃないから、わからないかもしれないな」
「…そんな」

桃井さんは少しショックを受けたような顔をした。

マネージャーと、選手。
天才と、凡人。

その差には幾分の差があるだろうか。
ひょっとしたら同じかもしれない。

「ボクはバスケなんて愛していないよ。でも、そうするのが正しいとわかるからバスケをしている」
「…正しいとか正しくねーとかっていう問題なのか?」
「簡潔に言えば投げ出す理由もないし、才能をみすみす捨てる気もないということだ」
「…まあ、才能を生かすことには賛成だが」
「キャプテンの言うことっていまいち難しいんスよねー…」


さあ、ボクはどちら側にいるのか。



答えは、本当はわかっているのだけど。











きっとボクは、バスケにも見捨てられる。




バスケがないと、生きてなんていけないのに。








 

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