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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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緑間の家に来た黒子は、ふと、暖簾のように垂れ下がる布を見つけた。
部屋と部屋の境に、綺麗な紺色の浴衣が吊られている。
わずかに入れられた白の模様に、品がある。


「…どうして浴衣が出してあるんですか」

夏だし、それは文句はない。
けれど、この浴衣では緑間には小さいだろう。
そう思って口にする。

口にした後、親が着るという選択肢のあるのかと思ったが、黒子の予想は間違っていなかった。

「ああ、それか。仕舞いこんでいたのが見つかってな。勿体ないから誰かに譲る予定だ」
「…結構大きそうなサイズですけど、キミには着れないでしょうね」
「ああ。ほとんど着ていないんだがな」
「キミたちは、ホントそれがもったいないですよね」

制服のスラックスも買い換えたのではなかったかと思いながら、口にした。
流石にもう安定してはきたようだが、まだ油断はできないだろう。

「綺麗な浴衣なのに」
「そうだな」
「きっと似合ったでしょうね」
「…気に入ったか」
「…そうですね」

和服は美しい。
洋服にはない気品がある。
けれど着付けや洗濯、値段などの都合から、そう簡単に着られるものではない。
憧れてはいても、中々手が届かない。

「…なら、着てみるか」
「え」

高い位置にかけられたそれを軽々と下ろして、黒子の肩に合わせる。
丁度いいぐらいの長けであることを確認して、緑間は浴衣を黒子に渡した。

「あの、ちょっと」
「遠慮するな、どうせもう使わん」

そう言い残して緑間は消える。
一体どうすればいいのかと取り残された黒子が真剣に考えていたところに、帯を持って緑間が戻ってきた。

「…本気ですね」

半ば呆れつつ黒子は呟く。
こうなってしまえば、もう逆らえる気はしなかった。

「服はそのままでいいだろう」
「…キミ、着付けできたんですね」
「母に教えられたからな」

黒子を立たせ、袖に腕を通させる。
適当に裾を上げて、調整し。
そのまま帯を締める。

背の高い緑間が、膝をついて尽くすのが新鮮な光景で、黒子は少し笑ってしまいそうだった。

「…きつくないか」
「…はい、平気です」
「…どうした、くすぐったいのか」
「いえ…ちょっと新鮮で」

手を伸ばして、緑間の頭を撫でる。

「…じっとしていろ」
「すみません」

かわいいな。
そんなことを思ってしまって、恥ずかしかった。

帯をきっちりと締めて、緑間は立ち上がる。
終わった。
黒子は少しほっとして、改めて自分を見た。

見慣れない衣装。
帯は黒っぽい抹茶色で。
きっと緑間が着ても、よく似合っただろう。

「鏡、ないんですか」
「…来い」

手を引かれる。
それがあまりに急だったのと浴衣でまだ歩くのに慣れていなかったために。

倒れて、ぶつかった。

「っわ!」
「!!…どうした、歩きづらいか」
「…いえ、いきなりだったので」
「……すまん」
「いえ、謝らなくてもいいんですけど」

何だか調子が狂う。

至近距離で目があって、そのまま、口付けられた。

かと思えばそのまま身体が離される。
無言で連れていかれた先には姿見があり。
鏡に黒子の姿が映った。

浮き出るように白い喉元、強調される線の細さ。

黒子はそれを情けないと取る。

けれど緑間はそうではなかったようで。

黒子の首を掬い上げて、口付ける。
そしてそのまま抱えて、床に押し倒した。

「!?」

首筋を、きつく吸う。
帯を解いて、現れた元の服の下から手を差し込んだ。

「ちょ…ちょっと、何してるんですか!!」
「……」
「折角着たのに脱がせてどうするんですか」

緑間は興をそがれたように顔を上げる。
こんなことの最中に目を合わせるのが恥ずかしくて、黒子は俯いた。

「似合うぞ」
「…脱がせておいて、何を言ってるんですか」
「今度、どこか祭りにでも行くか」
「…その時は、盛らないでくださいね?」
「さあ。どうだかな」

そう言いながら手を伸ばそうとするので、黒子は慌てて抵抗する。

「浴衣、皺になります」
「……。細かい奴だ」
「ダメですよ。ちょっとしか着てないのに」

緑間は迷惑そうにため息をついて、黒子を立たせる。
浴衣を脱がせると、そのまま元の場所へと掛けに行った。
黒子は、何となく服を戻して、ついて行こうとして、少し、振り向いた。

喉元に、赤い鬱血の跡。
途端に恥ずかしくなって、顔をそむけて緑間の元へと向かった。



浴衣を元通りにかけて振り向いた緑間は、顔を赤くしたまま俯く黒子を見て。
珍しくわかりやすく笑った。
そのまま引き寄せて口付ける。

ちゃんと抱き上げて。
今度は拒絶できないように部屋に向かうことにした。

止める理由など、ないように。







 

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