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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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青峰君は可哀相だ。
そうまともに思ったのは初めてだった。


ずっと彼のことばかり考えていて。
思いついた結論。
ずっと羨ましくて疎ましくてその傲慢さが嫌いだった。

けれど。
彼は1人だった。

ボクらが目標にしている彼のように、彼には目標はいないし。
倒したい相手だっていない。
全部格下だから。

仲間と協力しなくても勝てる。
むしろ協力したら楽しくない。
余りにも簡単すぎるから。
誰もいなくてもいいと言うのは。
余りにも傲慢な意見だけれど。

傲慢にならざるを得なかったのかもしれない。
もうそれ以上つまらなくしないために。
これ以上絶望しないように。
なんて、哀れ。
悲しい。



彼が負ければ、目標ができれば、変わるだろうと思ってやってきた。
それでもまた彼が本気で倒しにかかれば倒せてしまえるようになるだろうか。
ならないわけが、ない。
何しろ彼は天才だ。
強すぎる。
余りにも絶対的で。
堂々巡りだ。

どうやっても幸せにはなれない。
どうして彼はこんなにも不幸なのだろう。


震える指で、彼に電話をした。
まったく何時ぶりだろう。

怖い。
繋がるのが怖い。
自分からかけているくせに出ないでほしかった。

『……もしもし?』
「…お久しぶりです」
『……なんだよ。どーした』

「近いうちに、会えませんか」
『は?』
「キミの家に行ってもいいですか」
『……何の冗談だよ』
「冗談じゃありません。本気です」

『………なら、来るか?明日、昼から』
「じゃあ、行きます」
『…おー』
「では」
『どーゆー風の吹き回しだ?』

「……。会いたくなったんです。それだけです」
『……。そーか』
「はい。…では、失礼します」
『…じゃーな』

結局彼を真っ当に生かすにはなだめすかして甘やかして少しでも落ち着いて生きられる環境を整えることなのだろうか。

わからないけれど。

ボクが立ちはだかることでも永遠に立ちはだかり続けることができないのなら。
そっちの方がいいのではないかと思ってしまった。

弱気になんてなりたくない。
強くありたい。
けれど。

ボクの限界はあまりにも無情にそこにそびえているのだ。




「こんにちは」
「……マジで来たのかよ」
「ボクが冗談を言わないことは、よく知ってるんじゃないですか」
「…そーだな。そーだよ」

「親御さんは」
「いねー。出かけてる」
「そうですか」
「おう」
「……」

「……」
「……」
「何で来たんだよ」
「……キミが、寂しそうで」
「は!?」

彼は意味が分からなさそうだ。
無理もない。
色々、省略しすぎている気が自分でもする。
でもちゃんと説明しても、彼は嫌がるだろう。

同情ではない。
これは諦めなのだ。
ボクの。

キミをこれ以外に幸せにできないボクが。
とることのできたわずかな道。

これなら、ずっと、彼を支えてあげられるかもしれなかったから。

彼とは戦う。

本気で戦う。


けれどそれ以外に。
別の形で、彼を、支えるというか。
彼の正常さに手を貸せる方法が、これだけだった。

ほっといたらどうなるのか恐かった。

「抱きしめてあげたくて、来ました」
「………」

青峰君は絶句する。
当たり前だ。
ボクだって男にこんなことを言われるのは嫌だ。

でも、彼が、ボクを特別扱いしてくれいるのも事実で。
その立ち位置にボクを置いているのならそれでもいいと思った。

「いらないなら帰ります」
「はあ!?」

それだけのために来たのだ。
彼の孤独を癒してあげたくて。


それぐらいしかボクにし続けてあげられることはないと知ったのだ。


「帰って欲しいですか」
「いや……」

青峰君は語尾を濁す。
こんなに戸惑っている彼を見るのも久しぶりだ。
少し、おかしい。

「何笑ってんだよ」
「いえ、ちょっと…珍しいですよね、キミがそんな顔をするの」
「……悪戯はヤメロ」
「そんな趣味はないですって」

手を軽く広げる。

「どうぞ?」

青峰君は一瞬、凄く狼狽えたみたいだった。

でも、結局、覆いかぶさってきてくれた。

結構、重いが、仕方ない。
抱きしめると言うより、抱きしめられる形になっているのも、この際、気にしない。
初めからわかっていたことだから。
暫く抱き合って、そのまま、ソファに押し倒された。

そのまま抱き合う。
少し息が苦しいが、我慢した。
そのまま何をするでもなくただ抱き合っていた。


やっぱり彼は寂しかったんだなぁとなんとなく思う。

誰ともわかりあえず頼りあえないなんてきっと本当は酷くつらいと思うのだ。


ボクは手を離された痛みのことしか考えていなかった。

自ら一人になったのは彼だけど。
それもやむを得なかったのかもしれないと、許してあげる気になった。


だって可哀相だ。

きっと彼の孤独を癒してあげられる人は他にはいないから。













++++

黒子が全部譲歩した形。
これが一番落ち着くと言うか、青峰が折れても、結局はこの形に帰結しそうです。
黒子はいつまでも戦い続けることはできないと思うし。
火神が好敵手になれても。
火神が相手の時しか楽しめないんじゃやっぱり青峰は変わりきれないでしょうし。
やっぱり青峰は天才だから。

どこか投げやりな青峰を、黒子が支えていく形にしかならないんじゃないかなって。
桃井がこれからどうするのかは、あんまり考えてません。
3人でいちゃいちゃしててもいいけどね。

以前紹介した新居昭乃さんの花かんむり(flower crown)を聞いてたらこんなのが書きたくなった。

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