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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「緑間君は、あまり、ボクに触れませんよね」
「…そうか?」
「…そうです」
黒子に見上げられて、ふと、問われた。
意識していないから、よくわからないが。
青峰や黄瀬、紫原は、嫌というほど接触を好む。
それと比べれば、自分が潔癖症か何かのように見えても仕方がないのかもしれない。
「触れられたいのか」
尋ねると、困った顔をしたので、壁に手をついて、追い詰めてみる。
黒子が、少し、困ったように視線をうろつかせた。
自分で誘っておいて、肝心なところで躊躇うなと言いたい。
「…無理、しなくてもいいですよ」
「…無理などしていないが?」
何がだ、と問いたい。
「こんなに眉寄せて、何が無理してない、ですか」
指が伸びて、眉間に触れた。
細い指。
手を伸ばして、掴む。
「…これも、嫌でしたか」
「だから、嫌ではないと言っている」
「なら、止める理由なくありませんか」
黒子は半ば呆れるようにオレを見ていた。
確かに、他の奴に気軽に触れられるのは嫌いだ。
だが、オマエになら。
構わないと思うのに。
握った手を引き寄せて、口付けた。
黒子が驚いて、身を震わせる。
素直だな。
見開かれた眼を見つめれば、視線は、さっと避けられた。
…全く。
「オマエこそ、オレが近づけば逃げようとするくせに、何を言う」
黒子は、少し、身を引いた。
図星か。
「…逃げては、いないでしょう」
「だったら眼くらい合わせたらどうだ」
「……無理です」
「何故だ」
黒子は、暫く、黙った。
それでも無言で答えを待つと、俯いたまま返事が返る。
「キミはそういうところに拘る人だったんですか」
「だから、ちゃんと答えろ」
「……近すぎます」
「?」
「近すぎる。こんな距離で、眼なんか合わせられません」
手を離して、無理やり顔をこっちに向かせた。
黒子の顔は赤い。
自分の影になっていてもはっきりとわかる。
「大体キミが全然触れないから、妙に緊張するんじゃないですか」
強気に告げられる言葉が、珍しく神経を逆撫でない。
何でそんなことをいまさら気にするのだと、不思議に思った。
そんな理由なら今まで遠慮することもなかった。
眼鏡を外して、上を向かせた黒子と唇を合わせた。
とっさによけようとする身体を抑え込む。
「…っ…は…」
身体を離すと、赤い顔で、すぐさま視線を逃がす。
小さな手で唇を拭った。
「そんなに動揺することもないだろう」
「……何でキミは…いちいち口に出さないと満足できないんですか?」
「オマエが、わかりにくいのが悪い」
今度は額に、小さく口付けを落とす。
黒子は照れた上目づかいでこちらを見る。
「触れて構わないなら、手加減はしないぞ」
黒子は何か言おうと、口を開いて、それでも言葉か見つからなかったのか、わなわなと、震えた。
そういう意味だと悟れば嫌がる仕草も可愛く思える気がして。
面白いなと、改めて思う。
無理やり教え込むのもじわじわと攻めるのも悪くはないだろう。
「…もう、気が済んだんですか」
「…オマエの気は、済んだのか」
誘うように問うてやると、黒子はさっと横をくぐり脱げて、外へと逃れてしまった。
「済みましたから、早く、行きましょう」
「…欲しくなったら、いつでも言えばいい」
そう言うと、きっと睨まれて、黒子は先へと走って行ってしまった。
何だこの可愛い生き物は。
少し笑って、後を追った。
たまには、調子に乗らせてもらおうか。