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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
脳震盪で保健室に運ばれ、横になって暫く経った頃、ドアが開いて、勢いよく黄瀬が飛び込んできた。
続いて、飽きれた様子で青峰が。
「黒子っち!大丈夫ッスか!?」
「…平気です、そんなに大騒ぎしなくてもいいですよ」
「だって…!!」
「あーそーいや黄瀬が入ってからはあんまなかったな、こーゆーこと」
「え?」
「…そう言われれば」
「ど、どーゆーことッスか?」
「1軍入ったばっかの頃はもっと怪我多かったんだよ。だから皆慣れてる」
「な、慣れていいことなんスか…それ?」
「正直、複雑なところではありますけど」
黒子は、首をかしげながら答える。
「おし、まあ大丈夫そうだな。今片付けしてっから、30分くらいしたら部室来いよ」
「はい、わかりました」
「ホントになんか慣れてるッスね…」
「じゃ、行くぞ」
青峰はそう言って、さっさと出て行ってしまう。
そこまであっさりしていいものか、黄瀬は躊躇って、黒子を見た。
黒子がそれを察して、口を開く。
「黄瀬君、行っていいですよ」
「…ホントに、大丈夫なんスか?」
「大丈夫ですって。脳が揺れた衝撃で、一時的に意識がはっきりしないだけです」
「…全然大丈夫そうに聞こえないッス、それ」
「痛い所とかはないんで、平気ですよ」
黄瀬は、それでもまだ不安そうで、ベッドに身を起こす黒子の額に、手を伸ばした。
運動してきた直後なだけあって、黄瀬の方が、体温は高いかもしれない。
「でも、頭打ったとこ、腫れるんでしょ」
「まあ、そうはなるでしょうね」
「そしたら、暫く痛いじゃないスか」
「…過保護過ぎです。それぐらい、たいしたことないです」
そこまで心配しなくてもいいとはっきり言っているのに、黄瀬は、なかなか出て行かなかった。
普通にベッド脇に腰かけて、柔らかなシーツに額を乗せてしまう。
「…あんま、怪我とかしてほしくないッス」
「…別に、キミが気に病むことじゃないですよ」
「だって…」
「女の子じゃないんですから、傷が残ってもそんなに堪えないですし」
「そんなことないッスよ!」
「傷は男の勲章だっていうじゃないですか」
「いつの時代の話ッスか…」
もごもごと煮え切らない黄瀬の頭に何となく手をやって、軽く撫でる。
「ボクは、キミたちの方が心配ですよ。あんまり無茶なプレイして身体を壊さないかどうか」
「…黒子っち…」
「バスケに怪我はつきものなんですから。ボクのことを気にするよりは、自分のこと気にしてください」
ちゃんとストレッチとか、しないとだめですよと。
もう教育係も外れたというのに、熱心なことだ。
優しい言葉と手つきに、黄瀬は、そのまま眠ってしまいたい衝動に酷く駆られる。
「…聞いてます?」
「えっ?あ…聞いてるッスよ!…ありがと、黒子っち」
黄瀬は慌てて礼を言って、取り繕って。
「でも、黒子っちも、自分のこと気にしなきゃダメだからね」
「…はい」
優しい時間だった。
静かで、穏やかで。
このまま永遠に続けばいいと思うような。
ただ、それは。
次の瞬間割って入った声によって破られる。
「黄瀬てめぇ!!なにやってんだ!!」
「あっ青峰っち!?」
「途中入部のくせして掃除サボってんじゃねーよ馬鹿野郎!!」
襟首を引っ掴まれて、無理やり引きずられる。
「いたたたた!!!ちょっ痛いッス!!!!」
「うるせぇ!今のお前に拒否権はねーよ!」
賑やかに騒ぎながら保健室を後にしていく2人を見送って、黒子は、ふっと息をついた。
幸せそうな笑みと共に。
なんて、愛しい時間であることか。
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