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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「ねえ聞いた?最近この辺幽霊でるんだって」
「えーうそー」
「マジだって、何人も見た人いるんだって」
「えーどんなのよ」
「毬ついてる幽霊。音だけしか聞こえなかったり、いつの間にか後をつけてきてたりするらしーよ」
「何それ、怖ー」
「ね、音だけしか聞こえないとかマジじゃんね」
クラスの女子たちの、別に何気ない噂を耳にしただけだった。
馬鹿馬鹿しいと思いながら、日向は一時そんな話を聞いたことも忘れる。
今日はまた部活が大変なのだ。
勝つためだから、惜しみなどしないけれど。
部活が終わって、すっかり暗くなった道を、皆と別れて1人で歩く。
別にカントクと帰ってもよかったが、いつも一緒でも付き合ってんじゃないかと怪しまれるし、用事もあると言うのでおいて帰った。
怪しまれても困らないが、カントクの父親が怖いのだ。
下手をすればリコはわたさねえぞとか言われて家に乗りこまれる。
しかもわざわざ親がいない時間帯に来るから始末に負えない。
かといって遅くなり過ぎた時に送っていかなくても怒るから、いったいどうしろというのだ。
幸い最近はそれ程早く暗くはならないから、安心して別々に変えることができた。
時には木吉も送ったりするし。
別にそんな担当を決めたくはないが。
まあこれからのことを話し合うことも多かったから、結局よく一緒に帰っている。
ただ、今日は一人だ。
ダンダンと、ボールをつく音が聞こえて、不意に女子たちの会話を思い出した。
毬をつく亡霊。
そんなものいるわけないと思いながら、辺りを見回す。
近くに、ストバスのコートがあって、ああ、それでかとほっとした。
なんでほっとしてるんだ。
別に怖くなんかないぞ。
幽霊なんているわけがないし。
それにそんな今どき毬をつくなんて時代遅れも甚だしいじゃないか。
1人で笑い飛ばして、虚しくなる。
全くこれじゃ馬鹿みたいだ。
そんなこと想いながら帰り道を行く。
タンタンと、地面をたたく音が聞こえて。
何だまたかよと思いながら、歩を進める。
いや待て。
なんか、近づいてきてないか?
一瞬ひやっと寒気がして、慌てて辺りを見回した。
誰も、いない。
バスケコートはさっき通り過ぎたよな。
近くに高校とか中学とかあったっけ~いやないよなーあはははは。
ええええええええ。
「…マジで?」
ちょっと待てよ。
何でオレなんだ。
なんかしたか?
何もしてないだろ?
ちゃんと先祖は敬ってるしバスケだって真面目にやってるし。
そりゃ一時は不良になりかけたこともあったけどちゃんと更生したし!
何よりもう1年も前のことだ。
こんなんでたたられるとかオレの人生どうなるんだよ!!
「日向先輩」
「うほわあああ!!!!」
唐突にかかってきた声に心底ビビる。
「…どうかしました?急に立ち止まって」
「………黒子!?急に話かけんじゃねーよ!!」
「…すみません」
理不尽に怒られて黒子はあっけにとられながらも、勢いに押されて謝ってしまう。
日向はそれでも誰か来てくれたことにホッとしながら、耳を澄まして、辺りを見回した。
もう、いないのか?
やっぱりこういうのは1人の時にしか来ないのがセオリーなのか。
「どうかしたんですか?」
「いや、幽霊がちょっと…」
「幽霊?」
黒子は眉をひそめる。
日向はちょっと自分が情けなくて一端黙り込んだ。
そして気付く。
黒子がバスケボールを持っていることに。
ひょっとして。
「……なあ黒子、オマエ、さっきドリブルしてた?」
「あ、はい。練習してましたけど」
はーー。
大きく息をついて、肩を落とす。
何だよ。
驚かせやがって。
「こんな夜中にやるなよ…」
「…早朝にやっても近所迷惑だと思いまして」
「まあそれもそうなんだけどな…?」
「同じところばっかり歩いてるのもつまらないんで、ウロウロしてます」
あれ。
そーかひょっとして。
毬をつく幽霊ってコイツのことか!!
そーかそーか、それなら納得いく。
突然噂になった理由も、音しか聞こえない訳も。
「全部お前のせいだったのかよ……」
「いた、いたたた、なんですかいきなり…」
頭を鷲掴みにして凄む。
黒子は逃げようとするが、捕まれているしボールが邪魔で上手く逃げられなかった。
ひとしきり締めると、日向は気が済んで、ため息をつきながら黒子を開放した。
「まったく…オマエのせいでかかなくていい汗かいたわ」
「…それ、ボクのせいなんですか?」
「オマエのせいだよ!!」
「…すみません?」
「ったく…」
日向は肩を落として歩き出す。
「オマエ噂になってんぞ、毬をつく幽霊だってよ」
「…毬ですか」
随分可愛らしいものに例えられましたねと、ボールを見やる。
サイズも質量も毬の比ではない。
毬と言えば蹴鞠だが、こんなもの蹴り続けたりすれば足がすぐ駄目になるのではないだろうか。
「まー練習してんのはいーけどな。あんまり世の中を騒がすなよ」
「…はい。まあ、大分できてきたので、もう、ウロウロしなくても大丈夫かと思います」
「…新技か」
「はい」
黒子は、ふっと笑って、日向を見上げた。
日向はバスケ部ではそれほど背が高くはないが、それでも、一般人からすれば高い部類に入る。
日向は改めて、コイツってこんなに小さかったんだなぁと思い知った。
「じゃ、楽しみにしてるからな。奴らの度肝、ちゃんと抜けよ」
「はい」
黒子は、しっかりと返事をした。
こういうところはちゃんとした後輩らしくて好ましいな。
そんなことを思いながら肩を竦める。
「気を付けて帰れよ」
「はい、失礼します」
「おー」
ダムダムと、間近で、ボールをつく音がして。
それが遠ざかって行った。
オレも頑張らなくちゃなぁ。
そう思わされる。
後輩だけに全てを任せていられるものか。
++++
カプ書いたらネタが全部わかるので日向しか書きませんでしたー。
日向は意地っ張りだけど男前だと思います。
理不尽で毒舌だけどww
でも憎めないキャラですよねー。
黒子が幽霊に例えられるって言うのは、実はあるサイトさんの小説から着想してます…。
結局話は全然別のになったんですけどね。
こういうのってちゃんと報告とかしたほうがいいんでしょうか…。


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