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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「次、いつ、会えそうッスか」
「…ちょっと、先になりそうですね」
「…えー…?」
「部活の方が、結構ハードに入ってくるんです」
「……2週間も会えないの?」
「…ちょっとしか会えないのに、キミにわざわざ移動させるのも悪いですから」
「そんなの!全然苦にならないッス」
「……」
「黒子っちは、オレがいなくても、寂しくないんスか…?」
「…そんなことは、」
「いっつも、オレだけが会いたがってるみたい」
「…黄瀬君」
「こんなに、好きなのに」
「!?ちょ、黄瀬君!」
「何で黒子っちは、オレのこと、好きになってくれないんだろ」
「やっ…!!待って、話、聞いてっ…!!」
「オレがどれだけ黒子っちのこと好きか…もっと、ちゃんとわかってよ…!!」
そのまま、なし崩し的に無理やり抱いた。
いつだって、距離があるように感じていた。
空白の半年を、一度も触れずに過ごして。
こっちは気が狂いそうだったのに。
彼はただ冷静で。
その冷たさに涙が出そうになる。
やっと会えるようになって。
別々の場所で、頑張ることを決めて。
オレが好きだと言ったら、受け入れてくれた。
でも、それだけ。
怖くなる。
黒子っちにとってオレはなんなのか。
ただ、何となく。
オレが好きだからというだけで付き合われているなんて、嫌だ。
最初はそれでもいいと思っていたのに。
どんどん怖くなる。
お願いだからオレを必要としてよ。
オレが黒子っちを思うより、ずっとずっと、オレのこと、好きでいて。
欲望にはきりがなくて。
自分でも止められない。
こんなに身体は近くにいても心はどこか遠いところにいるみたいで。
泣きそうになりながら、ただ、求めた。
それが最低なことはわかっていても、どうしても、止められなかった。
次の日。
黒子っちは早朝、ろくに口もきかずに帰って行った。
もう終わりかもしれないなぁなんて思った。
嫌だったけど。
自分が最低なことぐらいわかってた。
何でこんなに好きなんだろう。
振り向いてくれないならやめればよかったのに。
他に相手ならいくらでもいるのに。
どうしても黒子っちしか思い浮かばないなんて。
何度もメールを送って。
電話をかけた。
けれど返事はなくて。
しまいには着信拒否にまでされてしまった。
やっぱり、嫌われてしまっただろうか。
あんな強姦まがいのことをしておいて、のこのこと、連絡を取ろうとする神経が、もうすでに駄目なのだろうか。
でも、会いたかった。
どうしても駄目だったから。
オレばっかりが好きでもいい。
つらくても、苦しくてもいいから。
もう一度やり直させてほしかった。
会えないだけで、こんなにも、つらい。
結局黒子っちに連絡を取れないから火神っちを頼った。
んなことにオレを使うなと怒られ、何したんだとなじられ。
最低なことをして怒らせてしまったとだけ言った。
オレが相当しょげてることが伝わったのか、火神っちはなんだかんだ言いながらちゃんと、仲直りの場を用意してくれた。
今まで、嫉妬したりしてゴメン。
思ったよりも、ずっといい奴だった。
こんな奴が隣にいるから、どんどん、オレの評価は下がっていくばかりなのだろうか。
誠凛近くのマジバ。
黒子っちは不機嫌そうにそっぽを向いて座っている。
それでもその横顔を見るだけでオレの心臓は跳ねあがる。
何でこんなに好きなんだ。
苦しくてつらい。
ずっと一緒にいられたら、どんなに幸せだろうか。
やっぱりオレは一緒にいることを諦めずにはいられない。
なんで別れなくちゃいけなかったのか、未だに、オレにはわからない。
「ホラ。とりあえず話つけろよ」
そう言って、火神っちはよその席に移っていった。
因みに、彼のトレイに山積みにされたバーガーは全部オレのおごり。
仲裁料というところか。
でも、今はそんなことどうでもいい。
「…黒子っち。…ごめん」
頭を下げる。
それしかできない。
いくら好きだからって、オレは、黒子っちに酷いことした。
あんなことで思いが伝わるならどこまでも楽だったのに。
「ごめん。ごめんなさい」
「…顔、上げてください」
「…黒子っち…」
彼はこっちを見ていない。
「自分が何をしたか、わかってますよね」
声が、冷たい。
「うん。…いやだって言ってるのに、あんなことして。本当に、最低だったと思う。…ごめん」
「………それもあります。でも、そうじゃないです」
「…え?」
「ボクの言い分なんかちっとも聞かなかったでしょう、キミは。言わせる気もなかった」
「……」
「それで、オレの気持ちがわかってない、なんて、よく言ったものじゃないですか」
「………だって」
「だってじゃありません」
ぴしゃりと言い放たれる。
ぐうの音も出ない。
「…ごめんなさい」
「…少しは、頭は冷えましたか」
「……わかんない。オレ、黒子っちのことになると、ホント、わけわかんなくなるんス」
「……そうですね」
「……黒子っち。好きだよ。ホントに。オレは毎日でも黒子っちに会って、一緒にいたいッス」
「……ボクも、会いたくないと思ってるわけじゃないです」
「!」
「でも、ボクは誠凛でボクのやり方を試したいんです。キミはキミのやり方で、海常でやってみる。そういう話だったでしょう」
「…うん」
「ボクはキミたちの力に依存することはしたくない。だから、今は一緒にいられないんです」
「…うん」
「…でも、納得できないんですよね」
「………うん」
「……それは、ボクのことを信用してないからじゃないんですか」
「!?」
「ボクが何をするかわからないから、眼の届くところに置いておきたいんじゃないんですか」
「違っ!!」
「ボクはキミのペットじゃない。いつも一緒にはいてあげられないし、キミの思うとおりに、行動してあげることもできません」
「…そんなの、わかってる」
黒子っちとオレは違う人間だ。
想いの形も表し方も、何もかも違う。
オレが傍にいてほしくても、黒子っちは違う。
わかってるのに寂しいんだ。
つらいんだ。
「わかってないです。ボクが何を考えてるかもキミは全然わかってないでしょう!」
「………わかるわけ、ないじゃないッスか…」
「……。そうですね。ボクは、そういうこと、今まで、言ってこなかったですから」
「でも、あの時言おうとしたら、キミは聞こうとしなかったでしょう」
「……だって。会わなくても平気だって言われたりしたら、オレ」
生きていけない。
これじゃあ信じてないなんて言われても無理はないか。
でもだって黒子っちは本当はどう思ってるの。
聞きたいけど聞きたくない。
聞くのが怖い。
「聞いてください」
手を掴まれる。
真っ直ぐに見つめられる。
この目が好きだ。
強くて、挫けない、誰にも砕けない、光。
「ボクは、キミが好きです」
耳を疑った。
驚きで黒子っちを凝視した。
眼はそらされない。
そんな言葉が聞けるとは思わなかった。
嫌いだと言われても、仕方ないことをしたのに。
「一緒にいたいと思いますよ。だから。…でも、ボクにはボクの事情があるし、キミにはキミの事情がある。それは、わかりますね?」
頷く。
頭の中が呆然としていて、よく、わからない。
「お互いのことを考えれば、会わずに、耐えるべきです。それがわかってるから、ボクは我慢します」
「…うん」
「キミに無理をさせたくないし、ボクも、全部を中途半端にしてしまいたくありません」
「うん」
「…ボクは、キミを信じてます。たまに不安になることもありますけど、でも、キミを信じてます」
「…うん」
「キミはボクを信じてくれないんですか。ボクだってキミの事情も考えずに来て下さいなんていくらでも言えますよ。でも、そんなことしたくない」
「……もっかいゆって…?」
聞きたい。
これが現実なのか、確かめさせて。
黒子っちは少し困ったように、照れた顔をした。
「…キミが、好きです」
「…もっかい」
「…何回言わせる気ですか?」
「何回でも、聞きたい」
手を逆に握り返したら、黒子っちが俯いた。
表情の変わらない顔が、少し、赤面している。
ああ。
好きでいてくれるのか。
「…そんな顔、しないでください」
「…そんなに、情けない顔、してるッスか」
「……ごめんなさい。…ボクが、全然伝えてこなかったのも、原因ですよね」
手が、顔に伸ばされる。
冷たい指。
大好きだ。
「ずっと、好きでしたよ。…キミが、あまりにも率直で、わかりやすいから。それに、甘えてました。…ごめんなさい」
「…オレも。…オレも、好き」
手を、握りしめる。
愛しい。
嬉しい。
こんな事態、想像したこともなかった。
いつもオレはぶつけるばかりだったのか。
返ってくるものは怖いから見なくていいと目をそらして。
「…出ましょうか」
「あ、うん…」
黒子っちに促されるまま、店を出て。
そのまま、手を引かれて、彼の家に。
誰もいないらしい家の鍵を黒子っちが開けて、入るなり、抱きしめた。
黒子っちは、抵抗しない。
ただ、手を伸ばして、抱きかえしてくれる。
それがこんなに幸せだなんて。
「黒子っち…」
「……」
「…したい」
「……ごめんなさい。今日は、無理です」
「……そっか。うん。わかった。でも」
「…?」
「お願い。我慢するから。抱きしめさせて」
「…はい」
ただ、ただ、抱きしめる。
それだけなのに、満たされる。
そんな気がした。
黒子っちがオレのこと好きだって言ってくれた。
これだけで十分だ。
ただ、それだけで。
「…黄瀬君、ありがとう」
「…え?」
「我慢してくれて」
「……ううん。オレこそ、許してもらえてよかった」
「…まあ、それは」
「黒子っちの気持ちも。聞けて、よかった。ホントに、嬉しい」
「……はい」
「離れていても大丈夫って気持ち。…ちょっとだけ、わかる気がしたッス」
「…そうですか」
「…やっぱ、こうしてられたら、一番いいけどね」
「…次は、ちゃんと、しましょうね」
「……いいんスか」
「はい。…キミなら、いいんです」
「…ダイスキ、黒子っち」
そのままずっと、ずっと抱き合っていた。
わかりあえるってこんなに嬉しいことなのだと、オレは知って。
次会えるときも天国だろうってわかった。
それだからきっと我慢できる。
待っていられる。
オレには、やっとわかった気がしたんだ。
それでも、今、この腕を離すのは、とても、とても惜しかったけど。