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(鬱です)
お前はそこまでか。
穏やかそうに告げられた冷酷な事実に、もう傷つくことはなかった。
永遠の別れを告げに来たボクに、彼は、いつもとなんら変わりなく、接してくる。
軽く引き寄せられ、髪に顔を埋められて。
手つきだけはいつだって、悲しくなるほど優しかった。
わかっているからそれ以上は望まない。
ただこれだけが全て。
別れればすべてが終わる。
彼の本当の心の内を知るものは、誰もいない。
ボク達が本当に噛み合ったことなんて一度もない。
さようなら。
そう言えば、残念だと言って笑った。
ちっとも残念そうではなさそうに。
この人のことだから次なんてすぐに見つかるだろう。
そういった心配をしなくていいことを、幸運だと決めつけた。
ゆっくり手を離した彼に向き合って、少し笑った。
もういいな。
そう思う。
何でもない仕草で、以前貰った鍵を投げ返した。
そうやって自分からそれた視線の前で、どうすればいいかを。
ボクは、よく知っていた。