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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「黄瀬君、あーんしてください」
「え、マジで!?」
黄瀬は、黒子に差し出された箸を見て、嬉しい悲鳴をあげた。
黒子が頷くので、そのまま貰ってしまう。
シチュエーションにどきどきするなんてバカみたいだけど。
でもしてえしまうのは仕方ない。
「はい、これもあげます」
黒子は、また箸を持ち上げる。
「黒子っち、今日は積極的ッスね!」
「…テツ、オマエいらねーの黄瀬に押し付けてんじゃねーよ」
「…ばれましたか」
「ウソッ!?」
幸せな気分を味わっていた黄瀬は、衝撃の事実に傷ついた顔をする。
黒子は少し申し訳なさそうな顔をして、首をかしげた。
「すみませんでした」
「馬鹿か、ちゃんと食べないから体力がつかんのだ」
「食べれないものは食べれないんです」
「黄瀬もほいほい食いつくなよな」
「えーだってー」
「テツがんなことしねーのわかってんだろ!」
「でもさ!夢見たっていいじゃないスか!」
さっきは幸せだったからいーんスと黄瀬は強がる。
「…なんか凄く申し訳なくなってきました」
「じゃあ、ちゃんと好意からそーゆーのしてほしいな」
黄瀬は甘えた目で黒子を見る。
黒子は正直対応に困ったが、その前に、うぜぇと言って青峰が黄瀬の頭をはたいた。
「ッ~!!ヒドいッス!!」
「べたべたすんな暑苦しい」
「全くだ。黒子、そんなことする必要はないぞ」
「してよ!緑間っちの言うことなんか聞かないで!!」
「…でも男同士でって悲しいものがありますよね」
「そうだな」
「えー!?他人の眼なんか気にすることないッスよ!」
「キミがそれを言っちゃいけないと思うんですけど」
「だよな」
仮にもモデルでありながらそんなこと言っていいのかと。
まあ彼らには特に関係ないことなので、そんなに気にしたりはしないが。
そして青峰は何気なく黒子の弁当に手を伸ばす。
「別に手づかみでいーだろ」
「…ちょっと卵焼き取らないでください」
「いーじゃねーかほらこれ一口やるよ」
「…はぁ」
差し出されたパンに、仕方なく黒子は噛みついておく。
黄瀬はそれを恨めしそうに見ていた。
「なんであーんは駄目で間接キスはオッケーなんスかね」
「オマエがすると生々しいのだろう」
「あーそれマジわかるわ」
「ヒドくないッスか!?」
「下心丸出しなんだよ」
「そんなことないッス!…多分」
「………」
「オレ爽やか系で売ってるんスけどねー」
「いやマジそれはねーわ」
「ヒドッ!!」
顔と中身のギャップがありすぎるだろと、青峰は呆れ顔だ。
黒子もどうコメントしていいかわからず、黙り込む。
「無駄話はいい加減にしてとっとと食べろ。時間がない」
「ああ」
「そうですね」
「ちょっとオレ放置!?」
わかりやすく困って見せる黄瀬に、黒子は、少し考えて、もう一度箸を差し出した。
「食べます?」
「え」
「いえ、いらないもの食べさせてしまったので。お詫びですかね」
「気にしてやらなくてもいいだろうに…」
緑間が苦々しく呟いたが、黒子も黄瀬も気にしなかった。
彼の苦言なんて、いつものことだから。
顔を近づける。
もう少しというところで。
「っおわ!?」
青峰が黄瀬を押しのけて齧りついた。
「あ」
「ちょっ青峰っち!!!!何してくれてんスか!!」
「おはえひはへはいいほほひはせへぇお(オマエにだけいい思いさせねーよ)」
「せめて食べてから喋って!!」
「青峰君、汚いです」
「少しは静かに食えんのか?」
煩い黄瀬を青峰は相手にせず、じゃー先に行くぜと立ち上がる。
どこまでも協調性のない奴めと緑間が口にしたが、青峰は構わず立ち去る。
黄瀬は最後までギャーギャー言っていたが、青峰がいなくなっては、仕方がない。
「…はー」
「…すみませんね」
「黒子っちが謝ることじゃないっしょ」
「まあそうなんですけど」
「オマエがいちいちうるさいからアイツもむきになる。少しは大人になれ」
「確かに緑間っちはうるさくはないッスけど…大人かどうかって言われたら複雑ッスよ」
「そうですね」
「!?」
黒子はあっさり同意して、弁当を片付けた。
緑間が何か言いたそうな顔をしているが、無視する。
黄瀬が、少し残念そうな顔をして、黒子を見た。
「結局後は食べちゃったんスね」
「食べないとお腹すいちゃいますので」
「そうッスねー」
「また今度」
「え」
「なにかあげますよ」
「…楽しみにしてるッス!!」
嬉しそうに笑う黄瀬を尻目に、黒子は荷物をまとめてしまう。
それを見て緑間が立ち上がった。
黒子もそれに続いた。
もうじき時間だ。
「いいから早くしろ、遅れるぞ」
「えっちょっと待ってー!!」
話に夢中で荷物を散乱させたままの黄瀬は、置いて行かれないよう、慌しくそれをまとめて立ち上がった。
もうじき頂点に達する太陽は、強い日差しを彼らに投げかけている。