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ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
まさにやまなしおちなしいみなし。
それっぽい空気が苦手な人は読まないことをお勧めいたします。
白い指先に、とろりとした、薄水色の液体が絡まる。
黒子はだらりと、疲れ果てた身体を浴槽にうつ伏せに凭れかける。
縁に腕をつっかえさせ、顎を乗せて。
湯船には生ぬるい湯が程々に溜まっている。
水の色は、無色透明。
清潔な浴槽の滑らかな色合いを、そのまま映している。
黒子の目は酷く重そうに瞼が下りていて、緩慢に、瞬く。
息も長く、ゆっくりとして、すぐにも眠りに落ちることができそうだった。
そしてその手には、半分以上溶けかかった、アイスが。
ソーダ味の棒アイス。
4分の1程食べられたところで放置されたようで、哀れにも、どろどろに崩れ、
手を伝いタイルの床に流れ落ちていく。
黒子の髪と瞳と同じ色の塊が、溶けては、流れ、落ちていく。
「あーあ、勿体ない」
黄瀬は、浴槽の外に屈んで、にこにこと笑っている。
ズボンの裾を捲りあげて、素足が濡れたタイルを踏みつけていた。
黒子は視線だけを動かして彼を見た。
動く気力もないらしい。
「だいじょぶ?だいぶばててるね。アイスも食べれそうにない?」
黒子は、軽く首だけを動かして頷く。
黄瀬は、手を伸ばして、アイスを持つ方の黒子の手を引き寄せた。
それにより黒子は連動して黄瀬に引き寄せられる。
眉を寄せながらもう一方の手を支えにし、転ぶと言う無様な事態は避ける。
まあ、黄瀬に捕まれているので、滑ってもどこかを打つだけだろうが。
「ごめんね」
「…何か一言言ってからにしてください」
「うん」
そう言って、黄瀬は、黒子の手に伝う滴を舐めあげた。
黒子はびくりと、弾かれたように身を起こす。
黄瀬は上目使いにいやらしく笑って、それを繰り返す。
「っ…!」
「あまい」
「そりゃ…ただの砂糖水、ですからねっ…」
「ロマンないなぁ、もう」
くすくすと、楽しそうに黄瀬が唇を寄せる。
吐息が、濡れた肌をひやりとさせて、黒子は身を竦めた。
「可愛いなぁ」
「寝言は、寝て言ってください…」
「本気だよ。こんな黒子っちみたら、皆すぐ墜ちちゃうかも」
「そんな物好きは、君だけですよ」
黄瀬がアイスの棒を奪い取る。
そして、空いた指先をぺろりと舐めて、咥え、吸った。
黒子は恥ずかしさに見ていることができなくなって、俯く。
その赤らんだ顔に黄瀬は余計にそそられて、手を掴んだまま体を寄せ、耳殻を噛んだ。
「っいっ…!」
「かわいい」
「っやめてください!疲れてるんですから!」
乱暴にふり払われ、黄瀬は仕方なさそうに身を引いた。
風呂場を先に出ていくと、振り返る。
「でも、ほんとに気を付けて。俺、いつも心配してるんで」
「馬鹿なこと言わないでください」
「ホントッスよ。なんか、存在自体がエロいっつーか」
「下世話な話はしたくありません」
「ハイハイ」
黄瀬は苦笑して、あんまり入ってると逆上せちゃうよと言い残して扉を閉めた。
静かになった浴槽に一人身を浸して、黒子は、目を閉じる。
舐められた手が、異様に熱かった。
べたべたした手をさっと水で流して、黒子は立ち上がる。
脳髄が痺れるように重い。
今日はもう寝てしまおう。
何よりもそれが先決だと思いながら、黒子は風呂場を出た。
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