「伊月先輩、髪綺麗ですね」

きらきらと、光を受けて、輝く。
いわゆる天使の輪。
 

「え？そうか？」
「はい。サラサラですし、色もいいですよね」
「ちょっと黒すぎじゃないか？もう少しぐらい、焼けてもいいと思うんだけどな」
「いえ。折角の緑の黒髪なんですから。大切にしてほしいと思います」
「黒子は不思議な髪の色だからなー」

「…ねー、伊月の髪って緑色にも見えるの？」
「え？」
「だって緑って」
「…ああ、確か、黒髪のことをそういう風に言うんだよ」
「はい」
「そうなんだ！？初めて知ったよ！」
「馬鹿野郎コガ！それぐらい知っとけ！」

「…日本語って意味わからん…」
「あーまあ火神はなー…」
「っていうか普通の人は知らないよ。オレだってなんで知ってるのかわかんないし」
「爺さん婆さんはまだ結構使う人いるけどなー」
「だってさー、あんまり話題がないじゃん？」
「思いきって色々話しかけてみたらいーじゃないか！結構面白いぜ！」
「オマエみてーに誰でもうまくやれるわけじゃねーんだよ！」


「…ちなみに、緑は植物とかの色なので。瑞々して美しいという意味でも使うんですよ」
「…へー」

「だから緑の黒髪は、とても美しい黒髪の賞賛の言葉になります」
「…そんなに言われると、恥ずかしいな」
「烏の濡れ羽色って言葉もあるぞ」
「あー、そっちは聞いただけでなんか意味わかるね！」
「でも烏ってなんとなく嫌なイメージあるよなぁ」

「多分それは近代のイメージからだな。ゴミとか荒らすし」
「元々不吉だって印象もあったんだろうけどなぁ」
「日本人は恐ろしいものは信仰の対象にしようという考え方がありますからね」
「あーだから色んな神社があるんだね！」
「平家とか、暴れ出さないように神社がいっぱいあるもんな」

「しかし詳しいなぁ日向に黒子！」
「ったりめーだ、オレん家のコレクション見てみるか！？」
「でもカントクにしょっちゅー折られてるよね…」
「ぐはっ！！それを言うな！！フィギュア以外もあるんだよ！」

「因みにボクは歴史小説とか読んでるからです」
「オマエいっつも本読んでるよな。眼ぇ悪くなんねーの？」
「今のところなってませんね」
「本よりはＰＣとかの方が悪いだろー」

「でもあれって遺伝の影響もあるとか聞くよね？」
「あー、親が眼鏡だと子供もそうなるってことか」
「どうなんだろーな、今度生物の先生にでも聞いてみっか！」
「勉強熱心だねー」

「国語の勉強と理科の勉強ですか？」
「雑学ともいうけどな」
「流石に緑の黒髪は出ないだろうなぁ…」
「でも日本人として知っとけ！」
「日向はマニアックすぎるよ…」
「外国のこと知るのも大事だと思うっす」
「うるせぇ西洋かぶれが！」
「っは！？」

「アメリカは西洋には分類されないんじゃない？」
「黙れコガ！」
「西洋かぶれって言葉、なんか逆に新しいよな」
「なんか変なツボにはまってるし…」
「まあどっちも大事なことにはかわりないさ！」
「そうですね」