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黒子のバスケの2次創作ブログ。 キセキ中心の黒子受け雑食(黒桃有)で文章書いてます。お勧め→◇
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(前書いた、一緒に生きよう、の続きに当たりますが単体でも大丈夫です。女黒子で(だけど全然変わらない)、青黒婚約中)


「なあ結婚式、あげるってことでいいよな」
「は!?」
 



黒子は驚いて、眼をむいた。

「…確か、結婚式は面倒だからいいとかいう話でしたよね」
「いや、それがなー。さつきに絶対やれとか言われたんだよな」
「…桃井さんなら、言いそうですけど」
「後黄瀬もやらねーとオマエが可哀相だって」
「いえ、そんなことないんですけど」

「とりあえず世の奴らはオマエにウエディングドレスを着せたいらしいな」
「…嫌なんですけど」
「まあちょっと見てみてーし。家族と友人だけよんで小せー式したらいいだろ。教会とかじゃなくていいよな?」
「っていうか同意してないんですけど」
「いーだろもう。つーか嫌ならオマエが説得しろよ。別にオレはどっちでもいーし」
「…はぁ…」

「白無垢はあんま面白味ねーしな。それよりかはフツーの着物の方が色気あっていいだろ」
「何の話ですか」
「とにかく式上げるぞ。招待状とかつくんねーとな。さつきにやらせるか」
「桃井さんが可哀相ですよ…」
「いやアイツなら喜んでやりそうだけどな」
「…それも想像できますけど…」

何だかんだで、式を上げることになってしまった。
一応桃井にどうして上げなくてはいけないのか聞いてみたが、女の子として絶対するべきだとか、青峰の稼いでる金をたまには大げさに使えだとか、とにかく見たいからと押し切られてしまったのだ。
昔から黒子は桃井に弱い。

色々と面倒なことは私も付き合うからと言われて押し切られてしまった。



そんな会話を交わしたのが、少し前のこと。

今日も3人で式場を下見した。
結局ホテルの一室で、披露宴に似たパーティを軽くやることになっている。
そしてまた数日後、ドレスの試着に行かなければならない。
それには青峰は参加せず、黒子と桃井だけで選ぶことになっている。

因みに桃井はお色直しをしようと主張しているが、黒子はそんなのはもういいですととにかく突っぱねている。
それが結局どうなるのかについては、ドレス選びでまた決まるのだろう。


とにかく今日は、用事があるという桃井と別れて、2人で、ぶらぶらと街中を歩く。
昼食をどこかで取って、後は青峰の家で落ち着く予定だ。
既にお互いの両親には顔合わせをしているし、何の気兼ねをする必要もない。

「それにしても、結婚ってめんどくせーな…」
「…仕方ないですよ」
「とか言って疲れてるのはオマエも一緒だろ」
「いえ、今はもう、殆ど用事ないですし。キミの方が、バスケの練習やなんやで忙しいじゃないですか」
「まーシーズンオフだからあんま派手なことはねーし。つーか、んなの苦労になんねーってことぐらいわかってんだろ?」
「…はい」

楽しそうな笑みを浮かべる青峰に、黒子は、少し笑って、頷いた。
彼にこの笑顔が戻ってくれて、本当によかったと思う。
黒子がもう一度、どうしても見たかったものだ。

それが自分の前で浮かべられているのならば、もう結婚なんて正直どうでもいいのが、本音なのだが。

「つーか昼何喰う?オレこの辺来ねーからよくわかんねーんだよな」
「…いつも、マジバぐらいしか行かないんですけど」
「このちょいフォーマルな格好でそこかよ!ちょっとはマシなとこ行こーぜ」

式場見にだらしない恰好なんかするな舐められるからと、桃井に叱られて、今はスーツだ。
もうネクタイは緩めてすっかり息の抜けた格好だけど。

「でしたら、イタリアンとか、洋食系ですかね」
「あんまこじゃれたとこだと量がすくねーからなー」
「倍頼めばいいじゃないですか」

「まーな。じゃあイタリアンにするか。パスタと別にピザ頼んで食おーぜ」
「こっちのピザの取り分が全然なさそうですけどね」
「ピザが欲しーならいらねー分はオレが食ってやるよ」
「それは、ありがとうございます…」
「…テツ?」

黒子の歩が、遅い。

そう言えば今日はずっと遅かった気がしている。
桃井がいて女が二人いるから気付かなかったが。

「どうした」
「すみません…」

近寄ると、黒子は、顔を歪めて、しゃがんだ。

「おい、体調悪いのか??」

それならさっさと言えよ。
青峰は焦りながら、黒子の背に手をやる。

「いえ、足が…」
「足?」

気付けば黒子の手は、踵に添えられている。
黒子が履くのは珍しい、ヒールのあるサンダル。
まめが潰れて更に擦れて、血が滲んでいる。

「…おい!」
「…すみません」

黒子は鞄からティッシュを取り出して、患部とサンダルの間に挟む。
しかしそれで、落ち着きそうにはなかった。

「…どっかで絆創膏買おうぜ。つーか靴買うか?」
「いえ。大丈夫です」
「全然大丈夫そうなツラしてねーだろ!とりあえず薬局ねーのかよ!」
「…すみません」
「っつーかだいぶ前から痛かったんだろ!どうして言わなかったんだよ!!」
「……。すみません」
「いや謝らなくていーから!」

とにかくらちが明かなくて、ドラッグストアを見つけてそこに飛び込む。
黒子には外で待つように言って。
やがてすぐに絆創膏を持って青峰が現れる。

それでも手当には落ち着ける場所が必要だ。
もう店なんか選ばずに飲食店に飛び込んで、座る。
注文にウェイターが来るので仕方なく適当なランチを注文して、黒子の足元に跪いた。

「いえ、自分でできますから…」
「いーから!」

よく構造のわからない靴を脱がせると、ほかにもまめや、擦れて赤くなっている箇所が次々に見つかる。
酷く、痛々しい。

何で言わなかったんだ。

「オマエ言うの遅すぎじゃね?」
「……」
「…つーかこんな靴履くなよな。今までこんなの履いてなかったろ」
「…それは、そうなんですけど」
「けど?」

青峰は眉を寄せて黒子を睨み上げる。
黒子は言いづらそうに、視線を足に向けている。

「おい」
「……ヒールに、慣れたくて」
「は?」
「式。ヒールを履きたいので。慣れとかないと、当日、こんなことになったら、嫌ですし」
「……別にヒールなくてよくね?」
「よくありません!」

黒子は声を荒げてから、しまったといった顔で、また俯く。

「…なんなんだよ」
「……」
「はっきりしろ。言えよ」

「………。キミの身長が高いので横に並ぶと不恰好なので身長を高くしたいんです」

黒子は観念して、不愛想に早口で言い切った。
青峰はぽかんと黒子を見つめる。
黒子の頬は、少し照れて、染まる。

「…そんなに変わらなくね?」

理解して青峰が呟いたのはそんな言葉で。

「………」

黒子はイラついて青峰を蹴る。

「おいこら!手当してやってんのになんて奴だ」

靴は履いていないのでそんな大したダメージにはならないが。
構わず足を掴んで、絆創膏を地道に張っていく。

青峰の動きがあまりにも真摯で、黒子はなんだか申し訳なくなってきた。

「もう、いいですから」
「あとちょっとだからじっとしてろ」

足を引こうとするけど許してもらえなくて。

「家帰ったらちゃんと洗えよ」
「洗いますよ…」
「徐々に慣らしていけよな、なんで今日からやるんだよ…」
「…すみません」
「でも、オマエのそーゆーとこは好きだけどな」
「……」

黒子は頬を染めて俯く。
今更こんなことで照れたくなんかないのに。

「まー当日楽しみにしてるぜ。ドレス、本番まで見せてくんねーんだろ?」
「そう、桃井さんは言ってましたね」
「つーかなんでアイツが完全に仕切ってんだろうな?アイツの結婚式かよ」
「まあ、喜んでくれるのは、嬉しいですけど」
「まーオレらが楽できるしな」

でも初めはやらねーつもりだったんだからどっちかってーとマイナスか。
そんなことを呟きながら、手当を終えた黒子の足をサンダルの上に載せて、やっと向かいに戻る。
おしぼりで手を乱暴に拭って、息をついた。

「…ありがとうございました」
「あー、いや、次からはちゃんと言えよ。そんなになったら、治るのも遅いだろ」
「……はい。自分で履いてきておきながら、情けないです」
「…オレのせいだろ?なら、許してやるよ」

そんな傲慢なセリフ。
けれどそれが嫌ではなくて、黒子は苦笑した。

結婚式まで、あと少し。

別にいいと言いながら、お互い、それを楽しみにしている。


桃井の策略にすっかりはまってしまっているが、仕方がない。

祝福されて、幸せへと向かっていく。

所詮は恋に溺れた者同士。


行き着くならば、最後まで。



辿りついてしまおう。






 

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