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授業が終わると、人に紛れて教室を出る。
10分の休みなら、ミスディレクションを発動し続けることは、そう難しくない。
誰の目にも映らないように、気付かれないように。
早く、時が過ぎればいい。
早く終わってほしかった。
もうこんな中学生活などに意味はなかった。
学校にいたくもなかった。
彼らを遠くから見つめることも、したくなかったし、探しに来る彼らから、身をかわし続けることも、痛かった。
それはボクの勝手な感傷だった。
だってボクが隠れているんだから。
自分が傷ついてどうするのか。
楽になるためにしていることなのに。
もうすぐ冬休みが来て、そして受験だ。
それが終われば、もう学校に来なくてもよくなる。
これでいいのか?
本当に?
問いかける言葉を無視する。
呑み込む。
大好きな人たちと別れる。
ボクの決めたこと。
それしかもう道はないと、覚悟した。
それなのに苦い。
別れを告げたのは自分なのに、決別できない、この心。
もう駄目だとわかっているのに、彼らを見るたびに揺らぎそうになるのが憎かった。
楽しかったとき。
嬉しかったとき。
幸せだったとき。
笑いあえたとき。
全ては事実としてそこにあるのに。
戻ることだけが。
戻ることだけが、できない。