[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ので、拍手とキリ番機能は停止させてもらいました。今までコメントありがとうございました!嬉しかったです!
更新は予約してますので、これまで通りにちゃんといくと思います。
暫く連絡は取れなくなりますが、これからも、よろしくしてくれたらうれしいです。
「失礼しまーす…」
ガラガラと保健室の引き戸を開けると、そこに保健の先生の姿はなかった。
用事で外しているのだろう。
この時間まで残る生徒はあまりいないし。
そう思って、桃井は、目当ての人間のベッドを目指した。
人が来ても音の届きにくい、一番奥のベッド。
それ以外のベッドには人はいないらしい、整えられたシーツと枕が、使われた形跡無く残っている。
プライバシーの為に仕切られたカーテンをそっと開く。
彼は、よく眠っているようだった。
あどけない寝顔に笑みを漏らして、桃井は、傍の椅子に腰かけた。
呼びに来たのに、起こしたらかわいそうになっちゃった。
疲れているのだろうと、思う。
連日の猛練習に、土日には試合。
息の休まる暇なんてない。
彼は真面目だったから、適度に手を抜くことなんてしなくて。
他の奴らに見習わせたいほど誠実で、今日、ついにダウンしてしまった。
「…テツ君」
そっと、呼んでみる。
そんな小さな声では、起きないとわかっていて。
彼の穏やかな、綺麗な顔がもっと近くで見たくて、身を乗り出した。
長い睫。
すっとした、男の子の、鼻筋。
色んなことが、アンバランスに思える。
綺麗で、格好いい。
ドキっとして、平常心じゃ、いられなくなる。
…キス、してもいいだろうか。
そんなことを思って、慌てて打ち消し、身を引いた。
何を馬鹿なこと考えているのか!
そんなはしたない。
きっと、テツ君はそんなことされたら嫌なはずだ。
そんな軟派な人ではない、だから好きになったのだから。
普通の人にはない細やかな気遣い。
優しい眼差し。
それでいて、誰より勇ましく、強い信念を、胸に秘めている。
それが、私の、大好きな人。
でも、気付かれないなら。
気付かれないなら、いいだろうか?
そう、せめて頬っぺたぐらいなら。
だってこのままじゃ、どこにも進めない。
テツ君は、今バスケに精いっぱいで。
それは私だって同じだ。
デートの時間なんて取れないし、青峰君をほったらかすわけにはいかないのだから。
何より、今のバランスを崩したくない。
皆で、わいわい、楽しく話して、騒ぎながらバスケできるこの時間に、男と女の関係を持ち込むなんて、野暮ってものだろう。
待つ覚悟はできている。
それでも好きになったのは自分だ。
でも、やっぱり、寂しい。
私だって、たまには、良い目を見たっていいじゃないか。
そう、それに、気付かれなければ、別に、何も変わらないのだから。
そっと、顔を近づける。
心臓が早鐘を打つ。
あと少し、というところで、勢いよく扉の開く音と共に大声が響いた。
「さつきー何やってんだ」
「きゃあああああ!!!」
思わず大声をあげて飛びのいた。
黒子が眉を寄せ、身じろぐ。
「あ…」
起こしてしまった。
しかも、最悪の形で。
「何うっせー声あげてんだよ…」
青峰はずかずかと保健室に入り込み、あっという間に2人のもとに辿りついた。
桃井は顔を真っ赤にして黙り込む。
訳が分からない青峰が何か言う前に、黒子が身体を起こした。
「どうしたんですか、桃井さん」
「あ…うっううん!なんでもないの!!」
「…変なヤツ…」
青峰が呟くと、桃井は思いっきり青峰を睨みつけると、怒鳴った。
「うるさいわね!!青峰君の馬鹿!!大っ嫌い!!!」
「はぁ!?意味わかんねーよ!っておい!!」
そしてそのまま走り出して、保健室を出て行ってしまう。
「…何なんだ」
「…また、キミが何かしたんでしょう」
「なんもしてねーよ!!…多分」
「……あてになりませんね」
そう言いながら、黒子は起き上がり、シャツのボタンを閉じ、ネクタイを結ぶ。
そして上着を羽織り、鞄を持った。
「もう大丈夫なのか?」
「はい、問題ないです」
「…まあ、顔色は悪くねーしな。今日はゆっくり休めよ」
「わかってますよ。それより、いいんですか」
「あ?」
青峰は間抜けに聞き返す。
「桃井さんですよ」
「あー…いいだろ。どーせ明日にはいつもどーりだって」
「…キミたちがそれでいいいのならいいですけど。でも、何事も適当に流してるといつか大変なことになるかもしれませんよ」
いつか桃井とて、青峰の適当さに愛想を尽かすかもしれない。
彼女の人生は彼女のものだし、いつか分かれ道が来るのは確実なのだ。
今までのように、甘えがずっと通用するわけがない。
「んなことねーよ。これからはオマエもいるしな」
「…あんまりボクに頼られ過ぎても困ります」
「いいじゃねーか、オマエどーせヒマだろ」
「…確かに時間はありますが、暇人みたいな言い方されるのは心外です」
「どっちでも変わらねーじゃん」
「…」
黒子は青峰をじと目でにらんだが、残念ながら鈍感な彼には効力がない。
仕方なしに息をついて、歩き出す。
桃井にとって青峰は何だかんだ言って特別で、だからそこまで心配する必要がないのは黒子にも分かっている。
けれど、彼女だって人間なのだから、青峰の無茶に付き合わされ続けるのも可哀相だ。
確かに、3人ならうまくいくかもしれないが。
そうできたら、いいのかもしれない。
でも、そんな夢のような話が上手くいくと、黒子には思えなかった。
男女の壁は大きいものだし、思いは、時とともに変容していくものだ。
今こうしているのが幸せだからと言って、それがいつまでも続くわけではないのだから。
それを理解しているのに、それでも黒子は、確かにそんな未来が存在すればいいと思っていた。
それは、彼の弱さだろうか。
「あー腹減った。コンビニ寄らね?」
「いいですね。ボクも、喉が渇きました」
「またバニラシェイクか?あんなんよく飲めるよな…」
「頭の回転をよくするには糖分がいいらしいですよ」
「…馬鹿にすんなよ?」
「ばれましたか」
「おいこら」
「すみません」
黒子は、肩を竦める。
秋に向けて、涼しくなりはじめた風が、肌をくすぐる。
多感な季節だった。
女の子可愛いですよねー^^
リアルでときめくのはほぼ女の子ですね(やばい)
桃は大切なのが青なのか黒なのかよくわかってないのも萌えですよね。
なんだろう、青峰君が絶対にしてくれないことを黒子がしてくれて、でも青峰君のように、黒子は桃を必要としてくれてないんですよね。
そういうことかな。
手のかかる子どもを抱えたシングルマザーと親切な保父さんみたいな関係と言いますか。
酷い喩(笑)
黒子も妥協すれば居場所は作れそうですけどね。
でも、理想が高いというか、絶対に諦めない。
そっちの方が多分つらくで大変なんでしょうね…。
眩しくて、きつい道を、自ら選んでるんですね。
ちょっと少女マンガみたいな要素入りましたもんね^^
桃井可愛いです。
でも最近よく考えたんですが拍手ボタンの位置が続きを読むのすぐ上なので間違えて押しちゃう人もいるのかもしれませんね。
でもこのままでいきます(笑)
間違いでも拍手してもらったって考えるとテンションあがるので(←寂しい人)
後赤司がいろいろ修正入ったみたいですねー。
今までのに合わせてた人はどうすれば…。
まあ私の中で掴めてきたら赤司がいる作品は手直ししますね。
ではでは^^
<< ◇やさしいひと 黒+水 | HOME | ◇こういう日もある 紫黒 >> |