慣れている。

慣れ続けてきた。

無表情で、何事も。

喜びも悲しみも面に出さなければ、嗅ぎつけられはしない。


そう思って生きてきた。

ずっとそうやって過ごしてきた。

だからこそ、今目の前にいる相手と、相容れることは絶対にないのだろう。


躊躇する。

近づきたくない。


ボクに興味なんて持たないでほしい。

後生だから。





いっつも黒子ちゃんって無表情だよねぇ。

…なんですか、いきなり。


もうちょっと笑ったりさ、わかりやすくできないのかなと思ってさ。

別に、わかりやすい必要はないと思いますが。

そう？でも、さっき、火神と話したかったんじゃないの。


…別に。火神君には火神君の練習メニューがありますから。

ふーん。

…何ですか。

ねぇ、構ってほしいなら、構ってって言わなきゃ構ってもらえないと思うけど？


…キミには、関係のないことです。

まあ、そーだけど。

今の距離感がちょうどいいんです。近づきすぎる必要はありません。

…ふーん？

…なんですか、いちいち。


それって、本心なのかなって思ってさ。

本心ですよ。

そう？寂しいとか、思ったりしないの？

しません。

でもオマエ一人の時寂しそうにしてる時あるじゃん。

！？


オレには見えてるからさ？多分誰も気づいてないけどね。

…悪趣味ですね。

見えるところでそーゆー顔してんのが悪いって。

…。

そーゆーの言った方がいいんじゃない？じゃないといつまでも寂しいまんまでしょ。


…いいんです。

そう？

はい。


…迷惑とかかけたくないから？

……。


何か、オマエっていらないところで遠慮しちゃうよね。そーゆーとこ、ホントに火神とは合わないんじゃねって思うけど。

…何が言いたいんですか。

オレにしとかない？

はい？

オレなら、黒子ちゃんのコト、一人にしないよ。


…変な冗談はやめてくれませんか。

冗談じゃないって。マジよ、マジ。

…意味が分かりません。キミは、ボクのこと嫌いだと思ってました。

ん～なんつーの？ほっとけないってゆーかさ。面白いよね。オマエも、真ちゃんも。

…緑間君だけで我慢したらどうですか。


まあ、それも悪くないけどね。

２兎を追うものは、１兎も得ず、ですよ。

でも、オレってホラ、視野広いし？意外と何とかなるかもよ。

そんな中途半端な覚悟で来られても相手が迷惑するだけですよ。

じゃあオマエだけが欲しいって言ったら、オッケーしてくれんの。

…今は、キミは敵なので。


ふーん。じゃー、今度決着がついたときにでも誘えばいーのかな？

…そういう話じゃないんですけど。

いーじゃん。今度どっか行こーよ、真ちゃんとオレとオマエで。

…緑間君が了承するかどうかがカギじゃないですか。

じゃあ真ちゃんがオッケーならオッケーってことね。

あ…。

じゃ、そーゆーことで。あんま無理すんなよ。


…よくわからない人ですね、ホントに…。







でも誘われれば、よほど都合が悪くない限り自分が断らないであろう予感はあった。


こんな状況を、望んでいるわけではないのだが。




一体、どこに帰結するつもりなのだろうか。


彼は。


ボクは。