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授業が終わると、人に紛れて教室を出る。 10分の休みなら、ミスディレクションを発動し続けることは、そう難しくない。
「ねぇ桃っち」 「なに、きーちゃん」 「なんで黒子っちは緑間っちのこと苦手なのによく一緒にいるんだろ」
昼休みというのは、休みを必要としない人間にとっては非常に面倒なものだ。
「よう、黒子、緑間。こんな僻地で昼飯食ってるのか」 「赤司君」 「赤司…」
部活合間の休憩中、黒子に突然黄瀬が近づいてきた。 何事かと怪訝な顔をする黒子に、黄瀬は不服そうに尋ねた。
黄瀬が食事に加わるだけで、昼休みの時間は一気に騒がしくなり、 反響する階段を出て場所を移すことも珍しくはなくなっていった。
「黒子」
ボクを待つ、その姿が。 彼に、重なる。 かつての光。 全てを焼き尽くすほどの、強い。
練習が再開した。
テツがいると、何もかもが簡単になる。 そんな気がしていた。
「それでは面白くもなんともない」
急な雨に追われて逃げ込んだ軒先で、止まない雨に捕らわれて立ち尽くす。 学校を出るときから危なげな予感はしていた。 予想通り、あっという間に降り出して、もうびしょ濡れだ。 今更傘を買う気にもならない。